海を見据える

作者 桜雪

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★★ Very Good!!

海に特別な思いを持っている私としては、重ねられる言葉にどんどん呼吸が苦しくなるようでした。
深く深く海に引き込まれ、たどりついた海底に縛られて、ゆらゆらと光る水面を見上げているような。
うまく世の中を泳ぐことのできない彼は、故郷の海でもう一度、美しい水面に顔を出して、青空を見上げることができるんでしょうか。

★★★ Excellent!!!

言葉などではどうにも癒しようのない、暗い海に漂う思い。

言葉としてではなく、身体に伝わる夜の海の冷たさ、耳元の水音、星の色——まるで自分自身がそこに漂っているような恐怖感が迫ってきます。

主人公に向けて、何か良い言葉を選ぶことができない。
今要るのは、言葉ではないのかもしれない。
ただ、主人公の側に寄り添いたい。一緒に歩きたい。——そんな思いが、強く押し寄せました。

暗さだけではない——上を向こうとする主人公の強さが根底に流れる、奥深い物語です。

★★★ Excellent!!!

海が持つ色々な色。同じく海沿いで暮らす私も、日々目にしてきた。
しかし夜の海の黒色は怖い。夜、少し歩いて砂浜に花火をしに行っても、私一人だけが底知れぬ怖さに震えていた。遠くに光る明かりを感じながらも、黒い海を得体のしらない巨大な生き物のように感じてしまう。
筆者が背負うもの。暗い海を直視する心は、逃げようとする私のものより数段美しい。静かで綺麗な悲しみを感じた。

★★★ Excellent!!!

苦しさ。悲しさ。空しさ。

幸せが薄いと、それらが強くのさばりだす。
喜びが淡いと、それらが大きく胸を覆う。

だけど、その一色は、一面にすぎない。

大きく育ちにくい場所を選んでも、ただ生きることだけしか頑張れなくても、それでもつかめるものは貴重だ。そう信じられる作品。

ありがとう。
あなたの紡いだ言葉が、私を励ましてくれます。力づけてくれます。
ありがとう。
この支えがあればこそ、私も耐えていける。