第46話 ジンガ
【概要:ザケルvs呪詛の男ワグ②】
ワグvsザケル。
一撃必殺の毒拳を持つワグと
当たらない男ザケルとの戦いは始まった。
ワグは不敵な笑みを浮かべ指をスナップさせた。
彼の周りを囲む女たちへ攻撃指示を出したのだ。
一斉にザケルに踊りかかっていく女たち。
ワグにより毒を受けた女たちである。
その動きは当然精細を欠いていた。
しかし、この50は優に超えるであろう人数。
纏わり付かれるだけでザケルの動きは
制限されるだろう。
そこへワグが毒拳を叩き込めば勝負は決する。
被害を受けるのは肉壁となった女たちのみ。
単純だが確実。
それゆえ誰にも攻略できない必殺の戦法。
この狂気の戦法にザケルは特に慌てる様子もなく
女たちが到着するのを待った。
そして先頭の女がザケルに触れるか否かという
タイミングで一気に動く。
流れるような自然な動き、
それでいて独特のリズムを刻む体。
ジンガであった。
ジンガ。
旧世界の南米人に伝わる独特の身体操法。
サッカーなどの動きにも取り入れられるこの動きは
彼らのライフスタイルに密接に関係があるとされ
彼らは極々自然にこの動きを会得し駆使していた。
格闘技として正しくマスターするのなら
そのリズムを刻む動きが、あらゆる攻撃を避け、
その独特のステップが予測不能な攻撃を産むという。
ザケルはこのジンガを使って
女たちを巧みにかわし接敵した。
その動きは流麗かつ美麗。
拳法家のワグが予測できない動きであり
ゆえに一瞬、反応が遅れる。
そこを逃すザケルであるはずもなく
ザケルはワグの喉元に蹴りを打ち込んだ。
足の指を突き立てるように相手に打ち込む禁忌の技。
達人クラスならばそれは刃物と同等の威力を持ち
それで喉を
多くの空手道場では使用を禁じられている技である。
それをザケルはワグの喉元に深々と打ち込んだのだ。
吐血して吹き飛ぶワグ。
しかし、ワグはすぐにその体を起こした。
この男もアモン同様、尋常ではないタフネスを有した体を
持っていたのだ。
この程度の蹴りでは殺せない。
体を引いて構え直すザケル。
その体を後ろから追いすがってきた女たちが捕らえた。
女たちは必死の形相でザケルに纏わりつく。
多勢に無勢。
素人でも数を揃えれば達人の動きを
一時、止めることはできる。
そこを逃すワグであるはずもなく
ワグはザケルに向け、必殺の毒拳を放った。
まさに絶対絶命。
ザケルの運命やいかに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます