姉妹の行方

「・・・すんだ、か」


家の外観が眺められる距離から、事が済んだのを感じる。

あのくそハゲが喋っている後ろで、あの娘の姉に事情を聞いていた。

胸糞悪い会話なんぞしたくも無かったが、あの娘の覚悟を聞く必要があった。

あの二人を、手にかけるだけの覚悟があるかどうか。


姉は私に宣言した通り、あの夫婦を手にかけた。

これであの娘は、命は救われるだろう。

・・・その結果どんなトラウマ抱えるかは解んねーけどな。


「話してあげればよかったんじゃ・・・」


家を眺める私に、フィアがおずおずと口を開く。

あの家の事情は二人に全て説明した。

エルはまた駆けだそうとしたので、流石に今回は頭を叩いた。

何回同じ事やるつもりだこのバカ娘は。


「話してどうなる。あの夫婦が娘を殺す事を正直に話すと思うか? 娘を殺す事を止めると思うか? 娘がそのことを信じると思うか? 喋ったところで、結末なんて変わんねえよ」

「それは・・・」


胸糞悪い思いを乗せて、吐き捨てる様に言いながらエンジンをかける。

事が済んだ以上、もうここに用はない。

あの娘の魂にも特に興味はない。現状ストックは大量に有るからな。

よほどの化け物と出会わねえ限り、ストック切れを心配する必要は無い。


あの村に行く前は、その前に化け物退治をやってそのまま行ったからな。

いくら目的の情報が入ったっていっても、少し考えなしだったとは思う。

思うが反省するかどうかは別だ。きっと私はまた同じ事をする。

アイツの情報を聞きつけて、悠長に準備をしてから向かうなんて、私には無理だ。


「娘には姉が付いてる。あいつがお守りを捨てない限りはな」


最も、血まみれの両親の返り血を浴びた人形をどうするかなんて、私には解らないがな。

どちらにせよ私は私のやりたい事をやっただけだ。

善人を名乗る気も、悪人を討伐したつもりもない。

ただ胸糞が悪いから八つ当たりをした。それだけだ。後の事は本人達の問題だ。


「・・・くっだらねぇ」


車を走らせながら、小さく呟く。

金の為に家族を、娘を殺す。

例え血が繋がってなくとも育てた期間がある筈だ。面倒を見た期間が有る筈だ。

あの娘達はそれこそ本当の両親の記憶など、良く覚えていない頃に引き取られたのだから。

それでも、あの二人の心は変わらなかった。あの娘よりも金を優先した。


「・・・本当に下らない。師匠もそう思いませんか」


返事を返してくれるわけもない相手に呟き、自嘲の笑いが出る。

何を情けねえ事をしている。

私は私だろうが。師匠とは違う。そう、決めただろう。


「・・・運転めんどくせぇ」


とりあえずふて寝でもしたいが、今はこの街から離れたい。

走行中でも寝れる様に、どこかの国でエルにでも免許取らすか・・・。

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