見えて来る事実

死亡届が出てる?

いや、いくらなんでも早すぎんだろ。この娘は迷ってから長くても1週間たってねえ筈だ。

水が足りてない気配は有ったが、そこで衰弱してなかった。

泣くような余裕が有った時点でまだ生きられる。普通は捜索が出てる筈だ。


「おい、おっさん、届け出は何時か解るか?」

「五日前だな」


おっさんの言葉に私は署の壁にかかっているカレンダーを見る。

五日前か。娘が居なくなって、そのまま死亡届を出した?


「おい、お前が出発した日は何日前だ」

「い、五日前です」


出発の日。つまりこいつが森に迷った日に死亡届を出されてる。

つまり、事故った報告はその日のうちに家人に報告が言っているという事だ。

それ自体おかしな話だし、それが通るとしても行方不明じゃなく死亡?


「そこの連中はそれを許可したのか」

「森に入って行って帰ってこず、そのまま死亡扱いで届け出た、と書いてあるな。死亡届の理由自体はおかしな話じゃない。あそこに入って出て来た話は聞かないからな。今回はその娘が森に入って行った証言も有ったらしい」


成程、確定だ。あの森の結界は大昔から有って、誰もそれを壊せなかった。

今回偶々私があそこを通ったからそれが解っただけか。

面倒だな。ぶち壊しておくか?


いや、それはもっと面倒だ。大体あの森の結界がずっと維持されてた時点であそこに人の手を入れるメリットがないって事だ。そんな所にわざわざ手を出す必要もない。

そっちよりもその証言だ。この娘は事故に有って、目が覚めたら森の中だったと言った。

つまりそれは、人為的に起こされた事故って事だ。


「証人は運転手か?」

「流石にそこまでは言えないな。名前を言われて個人を知ってる様だからこの辺りは伝えたが、それ以上は教えられんよ、お嬢さん」

「教えろ」


私は証明証を突き出して、おっさんに言う。

この証明証は、別に斡旋所だけに有用な物じゃない。私と言う危険物を証明するみのでも有る。

案の定、おっさんは目の前に出されたものを見て目を見開く。


「お嬢さん、冗談にしては質が悪いぜ?」

「そうか。じゃあ、脳漿ぶちまけてから後悔しな」


おっさんの返答を聞くと同時に、リボルバーの撃鉄を上げてをおっさんの額に押し付ける。

野郎、肝座ってんじゃねえか。今度は表情変えやらねぇ。


「これでも矜持ってもんがあってな。譲れんとこは譲れん」

「あっそ」


おっさんの言葉に、天井の照明を打ち抜く。その惨状に、署内に悲鳴が走る。

おー、おー、婦警さんは大変だねぇ。

私が本当に引き金を引くと思っていなかったのか、おっさんは険しい顔になった。

悪いけど只の脅しじゃねえんだよ。邪魔するなら次はねえ。


「邪魔すんな。次はぶちまけるぞ。お前意外をな」


お前が従わなければ他が死ぬ。てめえの矜持など知った事か。

そう言い放たれたおっさんは、暫くマフィアも顔負けな形相で私を睨む。

だが表情を崩さない私に諦めたのか、ため息を吐いた。


「逆らえば、街ごと消すか?」

「そんな面倒な事しねえよ。私は私の邪魔をする奴を排除するだけだ」

「聞いてた以上に質が悪いな、A持ちは」

「はん、私は私以外の事なんて知らんよ」


おっさんはその会話をした後、何かをカタカタと打ち込み印刷機を動かした。

数枚印刷し、中身を確かめると私に手渡してくる。


「ほらよ、持って帰れ。そして二度と来るな」

「用さえ済めば出てくさ」


私は内容を確かめる前にその場を後にする。

エルとフィアと娘が付いて来ているのを確認して、紙に目を落とす。


「ふーん、なるほどね」


何となく、見えて来た。

成程、成程。


「おい、警察に任せるつもりだったけど事情が変わった。お前の家まで送って行ってやる」

「は、はい」


娘に声をかけると、体を一瞬震わせてから返事が返ってきた。

まあ、それが普通か。さっきの私の行動を見て頭がおかしいと思わないはずがない。

少し驚いただけで終わってるフィアとエルが本来はおかしい。

まあ良い、とりあえずは娘を家に送り届けてからだ。

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