少女の覚悟

私はどうしたら良いのだろう。


ランさんは私の面倒を見てくれると言った。

もはや帰る所が無い私を拾ってくれた。


私はそれにただ甘えて良いのだろうか?

勿論私に出来る事なんて、今は何も無い。

いや、この先もあるのかどうか怪しい。

このままでは、きっとタダのお荷物だ。


最初は私より年下だと思ってたけど、そうじゃないみたい。

それに立ち振る舞いを見てれば、年下だとしても私よりよっぽどしっかりしてるのが解る。

どこか少し抜けてるところもあるみたいだけど。


山道を途中で歩けなくなり、さっきも後ちょっとの道のりをエルフリーデさんにおぶって下ろしてもらった。

今の平坦な道は流石に申し訳ないと思って歩いているが、痛みでへたりこみそうになる。

多分、この痩せ我慢もバレてるんだろうな。


ここに来る迄に、ランさんは口は悪いけど優しい人だって思えた。

勿論、あの山中での出来事は知ってる。

ランさんについて行けば、そういう出来事にきっと沢山あう。

それを承知の上で上でついてくるか? と、イコさんに言われたから。


構わない。

私自身があの人達に仕返しをする気はなかったが、あの人達のやった事を知ってる以上、あの人達の結末に何の同情も無い。

これからもああいう事があるとしても、ランさんは意味なくやらないと思う。


勿論、助けてもらった事で目が眩んでいるのかもしれない。

けど、それでも、私は助かった。

助けて貰った。


なら、その恩返しが出来るまでは付いて行きたい。

もし付いてくるなと言われたら、その時はすっぱりと諦めよう。


何とか独りで生きていく事は出来ないわけじゃない。

私はもう『子供』じゃなくなってしまった。

『大人』が喜ぶ事を知っている。


・・・それでお金を稼げばランさんの役に立てるんじゃないか?


いや、止めておこう。

もしやるとしても、ランさんに言ってからにしよう。


腕をじっと見る。

この腕も不思議だ。一体どうなっているんだろう。

ランさんは、聞いても教えてくれない。イコさんはランさんに聞けという。

エルフリーデさんは、そもそもランさんがよく解ってない。


山道をゆく間、この腕は一切の違和感を持たなかった。

まるで、あの出来事が無かったかの様に、ここにある。

この腕の恩も返さねばと考えると、私は恩を返す事が出来るのか怪しい。

いや、返すんだ。それこそ一生かかっても。


これはただ助けて貰っただけじゃない。

人としてやれる可能性を取り戻して貰ったんだ。

両腕が在るだけでやれる事は沢山増える。


だから、この人に付いて行って、この人をよく見て、この人を知ろう。

そしてこの人の役に立とう。

この人が、ついて来るなと言うその日まで、この人の役に立つ為に生きるんだ。


売られた時はあんなに奈落の底にでも落ちた気分だったのに、今じゃ人のために生きよう、か。

うん、頑張ろう。今はまだ役に立たない。それを自覚した上で、頑張ろう。

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