topics17 どうやって秘めるんだ?
第24帖 胡蝶(【超訳】源氏物語episode24 娘なの? 恋人なの?)に寄せて
いくつになっても恋に浮かれ恋に酔っている源氏くん。今回の被害者(敢えて今回は被害と書きます!)は玉鬘ちゃん。亡き夕顔の忘れ形見。かつて愛した人の娘。表立っては養女として引き取り、お婿さん探しをして彼女を幸せにしてあげようとします。
……が、やっぱりというか、ここまでくると水戸黄門の印籠のような安定の「源氏クオリティ」で玉鬘ちゃんを口説き始める源氏くん。
「親としての愛に恋人としての愛が加わってさらに大きな愛になるよ」
「他のヤツらよりよっぽど愛してるよ」
好きだったら何やってもいいんかいっ! と後ろから烏帽子をはたきたくなります。
その大胆な言動は自分に自信があるから?
三千年に一度のイケメンだし?
家柄はいいし?
仕事はできるし?
お金だってチョー持ってるし?
そんなこんなで直接言葉を交わしちゃって
そんなこんなで御簾内に入り込んじゃって
そんなこんなで几帳なんかどかしちゃって
そんなこんなで手なんか握っちゃって
そんなこんなで夜も帰らず添い寝する
どーよ、ソレ。
あげく、このことは誰にも言わずにいなさいね、だなんて言いふくめられる玉鬘ちゃん。これじゃ合意の上でそうなってしまった恋人同士みたいじゃないですか。
あまりに玉鬘ちゃんが可哀想。
困っているのに。
戸惑っているのに。
そしてこれまた思うのです。黙ってなさいなんて言われても、お付きの女房たちは知ってるじゃん、って。
今とは違う住宅で(源氏の世界⑥ 当時のお屋敷参照)、防音設備も壁もない部屋です。うっすい布の几帳や向こうの見える御簾で仕切ってある程度のところに女房たちは控えているはず。源氏がいつ来て、どこに居て、何時に帰ったか。何を話していて、何をしていたのか。女房たちはぜんぶ知っているはず。
彼女たち女房さんはウワサしないのかしら? きゃあきゃあ言いふらしたりしないのかしら?
「ちょっと! とうとう告ったわよっ!」
「うそっ!! マジっ?!」
「やだ、今日帰らないみたいよ?」
「寝室に入っちゃったっ!」
「添い寝だけだってぇぇぇぇぇ!」
どぉする? どうすんの? きゃあああああ💕
お姫さまは? 玉鬘さまはどうなってしまうの?
縁談はどうするの?
もしやこのままアイジングループに仲間入り?
こんな風に女房さん同士で盛り上がらないのかしら?
そして
「これ、だれにも言っちゃだめだからね」
なぁんて言いながらウワサを広めたりしないのかしら?
それとも紫の上、明石の御方、花散里の御方たちには知られないようにチーム玉鬘で徹底して秘密を守り抜くのかしら?
にしても、チーム内では大沸騰しそうなんですけれど。
叫びたくなる口を必死で押さえて、近くの同僚女房の腕をバンバン叩いて。
お互い袖を握りしめて瞳と瞳でうろたえて。
そしてふたりでこけつまろびつしながら別の女房の所へ行って。
いや、ちょっと、どうすんの~?!
ど? ど? どうすんのよ??
こんな風な騒ぎにはならないのかしら?
これも現代的な考えなのでしょうか?
「秘め事」なんて言うけれど、一体どうやって秘めるんだ?
そして源氏物語最大の「秘め事」と言えば、源氏と藤壺の宮の恋ですよ。
源氏と父帝の妃の藤壺の宮との許されない恋。
これこそバレたら政変に関わる。
帝や朝廷への裏切りだ、謀反だと言われてもおかしくない。
それでも罪も罰も背負う覚悟で文字通り命をかけて源氏は藤壺の宮さまのもとへと忍びました。
物語では宮さま付きの
「来ちゃったわよぉぉぉ。光る君来ちゃったわよ!!!」
「んまああああああ」
「お部屋に入っちゃったわよぉぉぉ」
「出てこないわよぉぉ」
「やだ、ウソ、このままお泊り??」
「まずいんじゃない? ヤバいんじゃない?」
「どうしたらいいのぉぉぉ?」
傍で騒がしくできなくても、それこそ筆談でもジェスチャーででも、とにかく「きゃぁぁぁぁぁ」と叫びたくなる事件じゃないですか?
でもこれこそ周囲に知られたらエッライ事だから必死に隠しとおしたのかしら?
女房や家来は「知っている」ことに入らないのかしら?
この人達は口止めしなくていいのかしら?
どこまでの範囲を「秘め事」って言うのかしら?
「ふたりっきりのヒミツ」なんてこの時代の高貴な方々には不可能じゃん? と現代の庶民は首をひねるのです。
☆【超訳】源氏物語のご案内
関連するエピソードはこちら。よかったらご覧になってくださいね。
episode24 娘なの? 恋人なの? 胡蝶
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054884194271
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