安宿
ベッドに寝ている。
多人数が同室の安い木賃宿。
カサカサと枕元を虫が這い回る。
時々だれかが虫を叩き潰すパンという音。
蚊のノイズが苛立ちを加速させる。
週に一回は殺虫剤を噴霧しているらしいが焼け石に水。出入りする人間と共に、そして防ぎきれないすきま風とともに侵入は止められない。
ここは
そう金が問題なのだ。
屋根があるだけマシなのかもしれない。そう思って明日のことは考えない。自分にあるのは今だけだ。
こんな生活、いつ破綻してもおかしくない。だがその破綻を先延ばしにすることはできる。10年先のことは分からない。そう思っていたガキだったが、今じゃ数ヶ月先のことすら想像できない。
What's the plan?
Do you have any idea?
NOだ。
なにもない。
俺にはなにもない。
あるのは寝床と酒、そしてドラッグだけだ。
意識が深く沈んでゆく。
どうなろうと知ったことか。
明日のことは明日考えるさ。
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