第254話 大酒飲みのテツィ




テツィと仕事をした後は必ず飲みに誘われる。





これは彼女が酒が大好きで、

大酒飲みであるからなのだが、

飲めないウツロとしては当然気が進まない。




毒針盗賊団の移送手続きを完了してから、

意気揚々と酒場の扉を開けるマヅチさんとテツィ


テーブルについて初めの一杯

一気に飲み干すふたりとそれっぽいふりをするウツロ



・・・



しばらくして、テツィが突然言葉を発する。



「よし、マヅチ、飲み比べだ」




一瞬の間


テツィは魔法協会で一二を争うほどに酒が強い。

マヅチだってそれは十分わかっている。



・・・だが、それでも!



「受けてたーつ!!」





30分後





べろべろに酔ったマヅチさんが床に横たわっていた。







$$$







「・・・ウツロ」


テツィが俺の方を向く。


ヤバい。

ずっと水飲んでんのがバレた。




「・・・」



「どうだった私の剣技?」



あの大剣をあの速度で振り回して、

一瞬で5人を地に沈め、宙に吹っ飛ばす荒業・・・


流石、魔法協会の上級協会員




確かに凄かったが・・・




「すごいワガママな物を見せつけられた感じだ」




「ふっふっふっ」




なんだ、その どや顔




「あんな力があるんなら、最初から蹴散らせば良かっただろうに」




「・・・」



私はそんなに考えなしに突っ込めるほど

責任ない立場じゃないし



少し不満顔でため息をつく。




だが、




後輩が強くなろうとしている姿を見て何も感じないわけじゃない。




・・・



「よし、ウツロ、久々に決闘だ」



「おい、飲んだ後だし」



「私は少しお酒が入るぐらいが強いぞ」




その後、

テツィに力いっぱい斬り飛ばされて宙を舞う。


そんなに力が余っているのなら、最初から蹴散らせばよかっただろうに



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