第238話 魔力ゼロのシェトリ
シェトリ=マディーンは生まれた時から魔力ゼロだった。
にもかかわらず、彼女は
気が付いたら魔法学校に入学させられていた。
トロい性格だったためか
周囲についていくため毎日毎日分厚い魔術書にかじりついて勉強の日々
気づけば卒業まであと一年になっていた。
最終学年になってもそんなザマでは、
卒業はおろか、魔法協会に入ることなんて夢のまた夢だ。
そんなある日
急に指導員の魔女先生から呼び出される。
こんな変な時期に呼び出されての『大事な話』・・・
シェトリは嫌な予感でいっぱいだった。
緊張から、足がガクガク震える。
「私は退学なんですか!」
わかっています・・・
むしろ今まで退学にされていないことの方が不思議なくらいですし!
「落ち着けシェトリ、確かにお前は当初『研究対象』として入学させたと聞いているが、座学は中々優秀で今では立派な生徒じゃあないか・・・ははは」
(・・・研究対象だったの!?・・・)
その話すら初耳だった。
動揺するシェトリをよそに先生は語り始める。
先日、私はお前の事について、『とある人物』に相談した・・・
「まぁ、それは興味深いわね」
その人物は、お前ににたいへん興味を持ってくれた・・・
喜べ、これは大変光栄なことだぞ!
「・・・はぁ」
「あの・・・『とある人物』とは誰なんですか?」
「すまん・・・名前を言うことは出来ないが、『ある魔法協会幹部A』とだけ言っておこう」
誰の事かはわからない、
というか、なぜ伏せるんだろう。
でだ、彼女はこう続けた。
「そういえば先日、あの『恐ろしい人物』が、誰か弟子を寄こせと催促してきていましたね」
「彼女は育て甲斐がありそうだし、ちょうどいいかもしれません」
$$$
「なんか怖いんですけどッ」
一連の話を聞いたシェトリの感想だった。
「何を言うか!」
あの、泣く子も黙る『あの人物』に、
『恐ろしい』と言わしめるだけの人物、きっと大物に違いない。
そんな大物の指導を受けることができる、とても光栄なことなんだぞ
興奮する先生のテンション
シェトリは今すぐにここから逃げ出したい気分だ。
全体の話がふわっとし過ぎやしませんかねぇ
そして、それから1年
シェトリの実技試験という名の
地獄が始まったのだった。
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