第224話【エレノールさん編】ここからじゃ遠すぎる距離




まずい・・・まずい・・・まずい





このままじゃウツロさんが死んじゃう


私のミスだ。

私のミスだ。


どうして、あの程度の違和感に気づけなかったんだろう

どうして・・・


私のせいでウツロさんが・・・




必死に魔法の書にメッセージを書き込む。




・・・




お願い、返事を・・・


「標的を捕捉した」というメッセージを最後に

連絡は返ってこない。



助けに行かなきゃ



槍を持つ。


今の私にどれだけやれるかわからないけど・・・

逃げる時間を稼ぐぐらいなら・・・

たぶんできる。



・・・ッ



唇を噛む。

って冷静になれ私

流石に無理

北支部までどれだけ距離があると思ってるの?


槍を握る手が熱い。

ゆっくりと槍から手を離す。



そういえば、今

リグレットが、北支部方面に居るはず・・・





$$$





雄叫びと共に

振り下ろされる大きな爪・・・

大きな木の幹が爪の形に大きくえぐられる。



パラパラと舞う木の粉


(・・・これは俺より強い)


逃げる・・・

無理だな、完全に捕捉されてる。

時間を稼いでも援軍なんて絶対に来ないだろうし、

下手に持久戦しても分が悪そうだ。



・・・



腹をくくるしかない



・・・



長く息を吐く。



・・・



頭に・・・


背の低い騎士の姿が思い浮かぶ。

目をギラギラさせて恐ろしい笑みを浮かべている。


確かにすごい腕力だ。


だが・・・


あの脳筋野獣バンリより絶対に下だ。

きっとあいつならこの程度の敵、余裕で噛み砕く。




『素人』は仕事の 成功 をめられたたえられる。

でも『プロ』違う・・・『プロ』ね、仕事の 失敗 をけなされておとしめられるんだよ。




リグレット先輩の言葉


俺は・・・プロだ。


ウツロは、構える剣に力を込める。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る