第23話 治療の果て

1999年の初診から22年、薬を飲み続けている。それでも何度も再発した。妄想。それが最悪だ。あとは、感情の平板化。自我の崩壊。解離性障害。

大きな妄想は2019年の秋が最後だ。20代の女性と結婚すると思った。インヴェガも効かなかった。以降、妄想は治まっている。思考が活性化しなくて困るくらいだ。リフレックスで言語野が空白になった。言葉が出てこない。いや、リフレックスは関係ないかもしれない。流暢な文章が書けなくなって何年になるだろう。そうなのだ。薬でいろいろな能力を失っているのだ。

最初の感情の平板化が、2011年。今の主治医も感情の平板化を認めている。いまは、トリンテリックス、リフレックス、レキサルティを使っている。さらに、インヴェガも。薬で脳内はグチャグチャだ。治療の果てにあったもの。それは無能化だったのではないだろうか。適応のために、馬鹿になる必要があるということなのか。

自我の崩壊。ワンと吠える。呻く。これも薬でコントロールできない。何とか、パニック発作にならない程度まで良くなった感じ。しかし、言語的思考が出来なくなった。

治療は続く。治療の果てにあるのは、私が私でなくなることだ。精神科医療なんて、そんなものさ。

私とは何か。誰もその問いに答えられない。残酷な世界だ。

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