第六章 第二話
(困ったわね……)
ミーナは
物資の供給が、予想以上に
元来、補給は
問題は食料。
二式大艇で往復する土方の
大規模な補給はリベリオンと扶桑からの船便を待つことになるが、これも予定は不明。
芳佳の料理の
「お昼は残り物でいいですか?」
「……コーヒーだけでいいわ」
(私ひとりが一食
「ミーナ」
なけなしのジャガイモを
「確かに太ったのを気にしているのは分かる。だがな、無理なダイエットは」
「私は! 太ってません!」
思わず声を
「あっれ〜、複雑な
ミーナの
「……リーネさん。コーヒー、キャンセル」
ミーナは手を挙げてそう告げた後、小さく
「……胃が痛いわ」
「ええっ!」
「何!」
「おい!」
「た、大変ですわ!」
たちまち、ウィッチたちはミーナを取り囲んだ。
「な、何でもないの!」
ミーナは
「済まない、ミーナ。病気だったんだな」
と、
「お前らが心配かけるからだぞ!」
「……」
(あなたがそれを言う?)
ミーナはこめかみを押さえた。
「宮藤を呼び
「そ、そこまでするほどのことじゃ……」
やんわりと止めようとするミーナだが、動き出したウィッチたちは止まらない。
止まる訳がない。
「
「土方! 土方はどこだ!? って、あいつは空の上か! では大至急、扶桑に連絡だ! 漢方薬を!」
「ええっと、胃に
「た〜い変なことになっちゃったね〜」
意外と
「……ええ」
「ま、いいじゃん。ちょっと休めば?」
「そうね。……休めたらだけど」
「本格的に胃が痛くなりそう」
* * *
「おい」
ハルトマンの助言に従い、少し
部屋に坂本が入ってきた。
「胃腸が弱っている時には、こいつがいいらしいぞ」
坂本がドンとテーブルに置いたのは、梅酒の
「土方に
「……秘伝ね」
疑いの目を、茶色く変色した液体に向けるミーナ。
「で、こいつは私からの差し入れ。梅干入りだ」
「……ええと?」
どうやら、当初はお
(貴重なお米を……)
ありがた
「
スコポラミンよりも強力そうなアイテムを、ミーナは仕方なく口に運ぶ。
「……ぷっ!」
梅酒は深みのあるいい味だが、お握りはそれを
しょっぱく、水っぽく、しょっぱく……ひたすらしょっぱい。
「足りなければ、もっと作ってくるぞ?」
「……あなたは……お仕事に戻って……」
ミーナはそれだけ言うのがやっとだった。
「いる?」
次に入ってきたのは、エイラとサーニャ。
二人が手にしているのはサモワール。
オラーシャ式のティーを
「
タロットを手にしたエイラは言った。
(あら、当たり?)
めったに当たらない占いが的中し、ミーナは
「で、サーニャが用意したのが、この
エイラ、サーニャがお茶をカップに注ぐのを見て、
「これにジャムを……」
エイラは
「これは……
サーニャは
「いいじゃん。
エイラはさらにドバドバッと。
「駄目」
ジャムを取り上げようと
「あ」
「……あ」
カップから
「どうぞ」
サーニャは、ものすごく重くなったカップをミーナに差し出した。
「失礼いたしますわ」
サーニャたちがそそくさと出てゆくと、入れ
「我が家に代々伝わる、秘伝の薬湯ですの」
ペリーヌは高価そうなカップを差し出した。
(ま、また秘伝)
「各種ハーブに、ベニテングダケと
それ以上
「
「そ、そう?」
「ちゃんとお飲みになってくださいね」
じっと見つめるペリーヌ。
ミーナは
「きっと、明日にはよくなりますわ」
ミーナがカップを空にして
だが。
「……あの」
「はい?」
「あの……わたくしのせいでしょうか?」
ペリーヌは
「え?」
「エイラから聞きました。原因はストレスだと。わたくしがわがままで、迷惑ばかりおかけしているから……」
「……ペリーヌさん」
ミーナは心細そうにしているペリーヌを呼び寄せた。
「そんなことはないわ」
「わ、わたくし、いつもみなさんの善意を素直に取れなくて……意地悪ばかり……」
「それも
「
「さあ、もう行きなさい」
「はい!」
「こ、こんにちは」
ペリーヌの後はリーネだった。
「あの、お茶を……」
「あ、ありがとう。でもね、リーネさん」
やんわりと断ろうとするミーナは、リーネが心配のあまり
「……い、いただくわ」
そして。
「おい、ライ麦パンがあったから持ってきたぞ! まあ、多少カビが生えていたが……」
バルクホルンが、カゴいっぱいのパンを持って扉を開くのを見た
(もう駄目〜)
ミーナは
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