43作目は芥川龍之介の短篇

『アグニの神』芥川龍之介 初出「赤い鳥」1921(大正10)年1月、2月

 約8千字、えあ草紙にて http://www.satokazzz.com/books/


 芥川賞作品を読んだ次は、本家本元に戻ってみた。

 諸事情によりここしばらくは長編を読む時間を取れそうにないので、短篇を探して行き遭った作品だ。


 たまたま観た小説指南のサイトで、「良い小説を書くための読み方」というアドバイスの中で「書き手の目になって読む」とあり、それを実践してみた。


 これまでも芥川龍之介氏の作品について感想や気付いた点を書いてきたが、今回は特に、わずか8千字強で書き上げられる世界とテンポの良い展開が印象的だった。

 お話の舞台はかつての国際都市、上海だ。

 最初のわずか数行で、当時の上海が醸し出すエキゾチックで妖しい雰囲気が伝わってくる。さらに、テレビドラマ一本分とも思われる内容が、8千字で起承転結するさまは見事だ。

 余計なものをそぎ落として、先に繋がる要素だけを丁寧に拾って、それでいながら読者の興味を失わせることなく引っ張り続け、クライマックスへという流れは、短篇のみならず長編にも生かすべきものだと感じた。

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