27作目は街コン作品から
読了20161105
今日明日は気分転換も兼ねて、カクヨムの街コン参加作品から選ぶことにする。
選択基準は「いつか古典作品として読まれそうな作品=長い時を経て読者に愛されそうな作品」
『おもひでの、舟を漕ぐ』作者 七瀬夏扉@ななせなつひ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881878040
さすが、街コン☆ランキングトップの作品だ。
同作者の『ひとりぼっちのソユーズ Fly Me to the Moon』も既に絶賛されているが、この短篇も情景描写が見事で、まるで映画のような美しい風景を目の当たりにしながら登場人物たちの心模様を楽しむことができる。
わずか2千字以内で繰り広げられる光景は、過去から現在に至るプロセスも含みながら静かに愛情溢れる心情と共に綴られる。
*以下ネタバレ含む。了解の上で読み進めて頂きたい。
男性主人公の一人称による語りでは、二人の関係が現在では微妙だとされるが、女性目線で読んでいると、絶対に二人が離れることはないだろうと、その絆の深さをひしひしと感じさせている。
その理由の一つが、三年前の失明後も二人が遠慮会釈なく喧嘩していることだ。以前に視覚障害者の方々とご一緒に活動したことがあるのだが、後天的な失明を経験した方が最も落胆することは、失明そのものよりも「周囲が遠慮して自分を甘やかすようになること」「本気で喧嘩してくれなくなったこと」だった。
失明した彼と彼女(かほりさん)は遠慮なくぶつかりあっている。真剣に向き合うからこそぶつかるのだ。根底に愛情がなければできないことではないだろうか。
それを、彼が春の眉山の桜の風景を前に心に留めることができて本当に良かったと思った。
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