21作目も有島武郎

『一房の葡萄』有島武郎 初出「赤い鳥」1920(大正9)年8月

 約 13 P×500字=約6500字

 読了20161030 朗読ツイキャス21時より。

 なお、ツイキャス朗読は本日を以て一旦休止し、今後は朗読時間の制約なしに作品を選ぶことにする。(つい30分以内に読める作品を探してしまいがちだったので)


 朗読後に感想を追記。

「赤い鳥」は児童雑誌なので、言葉遣いも表現も分かり易く、心情描写も丁寧に綴られている。

 主人公が犯した罪を責めることなく、優しく接して一房の葡萄をくれた若い女の先生の姿には後光がさして見えた。

 だが同時に、今の時代ならあり得ないとも思ってしまった。すぐに親を呼び出して、校長の前で親子で謝らせて、という光景になりそうだ。


 主人公が翌日に登校した際の様子には驚いた。先生はジムに一体どんな言葉を掛けて、そんな態度を導き出したのだろう。悪いことと知りつつもそれを抑えることが出来なかった主人公を、ジムが許して手を差し伸べるまでには、どんな葛藤や想いがあったのだろう。そこを知りたいと思ってしまった。


「赤い鳥」の創刊号には、芥川龍之介らも賛同の意を表明したそうだ。未来を担う子どもたちに良質の作品を読ませたいと思うのは、いつの時代も同じなのだろう。

 1918年の創刊からほぼ100年近く経った今、主流は紙媒体からオンラインに移ろうとしているが、それでも、大好きな本を手に取って楽しむ子供や家族の情景は変わることなく引き継がれていって欲しいと思う。

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