第對章(2) 5次元のアイリス
(※)経塚『きょうづか』☆りけじょ!しんぎゅらりてぃ♪
non integrable systems セカイはみえない「形」で出来ている
?????
『そっか。 つまり次元の錯覚によって、
本当の姿と、 人に視えている姿は全く違うってことだね?』
?????
『そうなんです。 この世界はみえない”かたち”でできていますから…』
『え? 彼らは誰かって?
宇宙がリセットされたから覚えていないのは無理無いよね?
彼らは……君……だよ』
———————————————————————
ある日、
あたしは雨戸の
それを知った時、あたしはすごくびっくりした。
興味を持ったあたしは穴のあいた板を机の下に立てて、
紙のスクリーンに同じように映るかやってみた。
すると、スクリーンにはちゃんと外の景色が映し出された。
あたしはそれに秘密のシアターと名前をつけ、
寝転びながら、毎日外の景色を楽しんでいた。
そしてまたある日。
あたしは外でたまたま虫眼鏡を拾った。
そして、いいことを思いついた。
そうだ!
この虫眼鏡を秘密のシアターの節穴に差し込んでみよう!
外の景色がスクリーンにもっと大きく映るかも!
あたしはそれをすぐに試してみたが、
スクリーンに映った景色は意外に小さかった。
残~念。
しかし、あたしその代わりに凄い事を発見していた。
それは、今までよりずっとずっと綺麗に映ってたことだった。
これ、すごい発見に違いないよ!
あたしは自信があった。
そして、後で調べて仕組みを知った。
虫眼鏡は凸レンズで光をたくさん集める性質をもつ。
だから、板に節穴だけのときより光がたくさん集まって景色が鮮明に映るということを。
他にもあった。
あたしは理科の時間に酸素の中で針金を燃やす実験を見た。
線香花火みたいにキラキラと光る針金を見てあたしは感動した。
それから、水素の実験もすごかった。
風船に水素を入れて空に飛ばすと、パンッという音とともに火花が散った。
空に赤い光が広がって、まるで花火だった。
そんなふうに実験に夢中になった私は、
学校で教わるだけでは物足りなくなって、
自分で考えて実験をするようになった。
本で見つけた電気仕掛けのベルや電信機も作ってみた。
電池と線とスイッチで音が出たり文字が送れたりするのが面白かった。
私が持っていた子供用の顕微鏡は、
倍率が約20倍しかなかった。
小さな生き物を見ることはできたけど、
本当はもっと細かいところまで見たかった。
もっと高倍率の顕微鏡があればどんな世界が見えるんだろうとあたしは子供ながらに気になった。
ある日、
あたしは学校でガラス管の切れ端をもらい、
それを溶かして自作のレンズを作った。
自作のレンズはなんと200~300倍の倍率になった。
自分なりにいろいろ工夫して、思い通りになる。
この喜びはあたしにとって何ものにもかえがたかった。
こうしてあたしは科学が大好きになっていった。
あたしは最近、暇さえあれば毎日納屋に籠り
自作の顕微鏡でミジンコ観察をするようになっていた。
「ツンツン」
何かが、あたしの背中をツツいていた。
「へ~い?」
あたしが後ろを振り返るとそこには…
おとぎの国からきた迷子の妖精のような
可憐な少女が立っていた。
その髪は長くツヤやかで、まるで水彩絵の具で描いたような透き通った水色。
その妖艶な栗色の瞳が、さっきからずっとあたしを見つめていた。うへへへw
「あなた……名前は?」
「
「みかけない格好してるね。 西洋の人?」
真智は思っていたことをそのまま口にした。
「実はキミに渡したいものがあるの。 どうぞ」
「無視? まあいいか。 あ、ありがとう」
名刺のようね。なになに、
宇宙の真理を探す会
どういう意味?
「愛理栖ちゃん、これはどういう……」
少女はあたしに名刺を渡すと飼い猫から逃げるネズミのようにすぐにこの場を去ろうと……。
「ちょい待ち~!
あなた、本当に誰なの?」
「信じて! 君が消えちゃうその前に……」
その言葉を最後に、その少女の姿は
まるでロウソクから消えたともし火のように
跡形もなくどこかへと消えてしまった。
(どこ……?
それにしてもあの娘、何を言おうとしてたのかな?
何かひっかかる…)
名刺の裏には地図と時間、そして"誰にもいわないで"とある。
あたしは喉に刺さった小骨のように少女のことがずっとひっかかっていたから、 後でお父さんに少女の事を聞いてみた。
「誰も来んよ!おめえ、夢でもみたのか?」
「だって、現に来たよ」
あたしはお父さんに証拠として名刺を見せようとしたけど、 注意書きのことを思い出し思いとどまった。
次の日、
あたしの頭の中は謎の少女のことでいっぱいだった。
彼女のことが気になりずっとひっかかっていたあたしは、
数学と物理、化学の得意科目の時間以外
ずっと上の空で、
教室の窓から空をぼうっと眺めていた。
『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン!』
終業のチャイムを聞いた後も、
あたしはもらった名刺をポケットから出し、
食い入るように見つめてばかりだった。
『信じて、 君が消えちゃう前に……』
あたしには、少女が去り際に放った『消える』という言葉が全然他人事とは思えなかった。
嫌な予感がした……。
あたしはワラにでもすがるような気持ちで真っ直ぐに家に向かった。
あたしが家に帰ると……、
両親の存在が綺麗に消えていた。
あたしは喉の奥に指を突っ込まれたような衝撃を受け、
それと同時に、 まるで空気の抜けたゴム人形のように倒れ込んだ。
あたしにたいして不自然な程親しげに接してくれる親戚のおじさんやおばさん。
しかし、その善意は
容赦なくその残酷な現実を浴びせ続けた。
この日、あたしはもう神なんて絶対信じねー!!
そう決めた。
———————————————————————
(※)【
土中に小石室をつくり,経筒や経箱に経典を入れて埋納し,盛土をした塚。
※この作品第2章は、
シンガーソングライター やなぎなぎ さんの
『Land Scape』、
アニメ 『天体のメソッド』の
オープニング曲やエンディング等の曲を聞いてインスピレーションをを膨らませて書きました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます