Story41 リヴスル脱出作戦~2つの神~




 ~・~・~・



 「――シェ。リーシェ?」


 フォルサに話しかけられ、リーシェはハッと我に返った。


 〘あ……わりい、つい思い出しちまって…〙


 「いいのじゃ。お主がそうなってしまったのはすべて儂の責任―」


 〘ハァ……じいさん。私は別にじいさんを恨んじゃいねえ。ただ、あの時なぜ急にスピラーを辞めたのか、気になっただけだ〙


 リーシェはフォルサの目を見据え、ため息交じりに言った。


 「その話は、……いつかまた、リピルがいるときにでも話そう。そろそろ『彼女ら』も戻ってきただろうしな」


 目をそらしながら言ったフォルサに文句を言いながらも、リーシェは確かに主人の存在を感知したため、


 〘その話………絶対に、お前が死ぬまでに、聞かせてもらうからな。それまでは、絶対に死ぬんじゃねえぞ〙


 フォルサは優しくほほ笑み、


 「ああ…絶対に、話すさ」


 と、しわがれた声でそう言った。



 1人と1つの精霊は、精霊界に戻ってきたミムら少女たちの元に向かうのであった。



 ~・~・~・



 話は、ミムらが精霊神シェリオに会った時にさかのぼる。



 〖へぇ~…あなたが噂に聞いてたミムちゃんね。一度会ってみたかったんだよね~、最近神界でも注目されてるよ、キミ。色んな意味で〗


 自己紹介した瞬間、なんか神様に私が知られてた件について。

 まぁ神様だし、転移してきた私を知らない訳はないんだろうけど。


 「精霊神様!わたくしリピル・マージナー、生存を証明するためにここに参りました!」


 そう思っていると、急に隣にいたリピルが声を上げ、その隣に立っていたミュシアとファールスも丁寧に頭を下げた。すると、


 〖オーケーオーケー。そんな改まらなくてもいいんだよ、リピルちゃんたち。ここに来た時点で、存在は十分に証明されてるんだから〗


 精霊神様は困った顔で答えた。


 〖それに、ボクはそういう、なんか改まってんの、苦手だし。もうタメ口で全然オッケーなんだよ~?〗


 ファルスが答える。


 〘失礼を承知で何度でも申しますが、いくらわたくしどもが精霊神様と仲が良かったとしても、精霊神様は私たちを生かす神であり、私どもがその従者であることに変わりはありません。だから、それは不可能です〙


 〖むぅ~、みんなそう言うんだよね~、苦手だって言ってんのに~〗


 精霊神様は心底不満そうに唇を尖らせた後に、


 〖ハァ~…まぁいいや。何回言っても無駄だろうし。…とりあえずキミたちの存在確認は終わったから、帰っていいよ。お疲れ〗


 もうさほど興味はないかのように私たちをあしらい、小屋に帰っていこうとした。


 その時、私はかつての目的を思い出し、歩いて行く精霊神様に訊いてみた。


 「あ、ああああの!私、シガム様にお会いしようと思い、この森に入ってきたのですが……」


 それを聞いた精霊神様は歩みを止め、


 〖シガム様に?ああ、そっか、なるほどね…〗


 何やら納得したように何度か頷いた後にこちらを振り返り、


 〖シガム様ならこの小屋のちょっと先にいらっしゃるよ。ミムちゃんのことなら既にご存知であるはずだから、会ってお話を聞いてくるといい。は思ったより深刻かもしれないしね〗


 「…事態?深刻?」


 〖ふわぁ~…。ゴメン、ボク眠いから帰るね。じゃ〗


 何やら意味深なことを言い残して、精霊神様は大きなあくびをしながら小屋に戻っていった。


 「…とりあえず、シガム様に会いに行こっか」


 リピルがようやく話しかけた。


 私たちは、森を更に進んでいった。


 すると途中で、


 ブブブブブッ!


 羽音が聞こえたかと思いきや、


 「ムムッ!?侵入者発見!侵入者発見!」


 そう叫びながら小さな虫のようなものがこちらに突進してきた。


 「キャッ!?」


 リピルが悲鳴を上げ、私の後ろに隠れる。

 しかし、その羽虫は私の目の前で止まり、やけにジロジロ見られたかと思えば、


 「ん?こやつは……」


 と呟き、森の奥にきびすを返して消えていった。


 「…今の、何だったんだろ」


 私はまだ後ろで少し震えているリピルを落ち着かせながらも、羽虫が何だったのか考えていた。


 しばらくしてようやくリピルも落ち着き、いざ進もうとしたとき、



 〖――我を求めし迷い子は其方か?〗



 急に中二臭漂う発言に思わず振り向くと、イメージ通りのイタそうな人がいた。

 いや、神か?


 「あ…シガム…様ですか?」


 苦笑いしながら聞いてみた。


 〖いかにも。我こそがこの世界の「魔」をつかさどる魔神・シガムである。其方が「異界より召喚されし不運な少女ニズカ」であるミム・タチバナであるな?〗



 左手で顔を覆い、右手の手のひらを私の前にスタイリッシュに出すという最強の謎ポーズ!

 超絶長い文字の羅列のフリガナになるという書籍限定のエフェクトが付きそうな発言(の割には結構まともなことしか言ってない気がするが)とその言い方(の割に渋くてイケボ)!!


 間違いない…これは完全に中二だァ~~~ッ!!!



 (ちなみに振られているフリガナは私の完全妄想だ!!!)

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