Story32 リヴスル脱出作戦⑥


 「再構成魔法リサマージ・120、強度補強魔法ストロマージ・55…これは厄介ね」


 〘構成に関わる魔法はそれだけですか。ならば、そこはイルサの逆転魔法リバマージで…〙


 「待って!逆転耐性魔法リバトーレマージが77もある、まだ新米のイルサには太刀打ちできないわ」


 〘リピル様、魔力残量が著しく減少しておりますので、治療させていただきます〙


 「ええ、ありがとう、ムルフ」


 ティムの五重結界で守られた下で、リャナーサの絶対拘束の縄バインド・ロープの解析が始まった。


 「ひぇ~、あの人たち何言ってるか分からないよ」


 自分の絶対拘束の縄バインド・ロープをリピル達に見せながら1人呟く。


 〘リピルはあんな見た目でも一応魔法大学校を首席で卒業してるからね、見くびっちゃいけないよ〙


 横たわっている私に話しかけるリーシェ。


 「えっ!?魔法大学校!?首席!?」


 「…リーシェ~。その話はやめてちょうだい」


 〘へいへい〙


 いや、実に興味深い。

 この世界にも、ファンタジーものでよく見る「魔法学校」なるものが存在しているのか……!!


 「えっ、その話とても興味深いんですけど」


 「今は私の経歴よりもここからの脱出が第一。ね?」


 「あ、うん、ごめん」


 リピルにぴしゃりと正論を言われた。

 そうだよな、今は脱出のことだけを考えないと…


 〘ミム~、私の「呪い」を完全無視したお前の能力がどんなものか知りたいんだが〙


 リピルに憑いていた時のオーラが全く感じられない、それどころか軽く笑みさえ浮かべているリーシェが話しかけてきた。


 「え…やめといたほうがいいよ、絶対後悔するって。っていうか、さっきリピル達に見せたんだけど」


 〘私はその時召喚されてなかったからね、何も知らないんだよ。――精霊は召喚されてない時はスピラーの感覚情報を間接的に体験することはできないのさ。…とりあえず、目は見させてもらったからね〙


 いたずらっ子のようにニヤリとするリーシェ。

 しまった…この世界では目を合わせないほうがいいのかな…??


 〘……………〙


 私のステータスを盗み見した瞬間、リーシェは黙りこくってしまった。


 「…ホラ、言わんこっちゃない」


 〘……いや、もうこれは尊敬の念に値するよ〙


 「え?」


 それがどういうことか自分でもステータスを見ようとしたその時、何か手足が楽になった気がした。

 ――絶対拘束の縄バインド・ロープが外れたのだ。


 「……やった!」


 〘やりましたね、お嬢!やはりこの縄の盲点は魔力のよどみ!そこに集中して破壊魔法ブレカマージを注げば、簡単に外せますよ!〙



 そう言うファールスに頷くリピル。

 また意味の分からないことを言っているが、とりあえず解析が終わり、縄を外すことができたみたいだ。


 私で試した後、自分の縄も難なく外すリピル。

 そして、順調にミュシア・フォルサさんの縄も外してあげた。


 「お爺様?…お爺様!?大丈夫ですか!?」


 「…フォッフォッフォ。儂はこんなところで死ぬような老いぼれではないのでな」


 やや衰弱しているが、フォルサさんも無事みたいだ。

 リピルがムルフに命令し、フォルサさんを回復させる。


 「…ムルフ、お主も成長したのぉ」


 〘フォルサ様…〙


 フォルサさんの顔色がだんだん良くなっていく。

 何やらムルフが心から嬉しそうな目をしているが、今はあいにくそんな感情に浸っている暇は、正直に言って全くない。


 「『マダム・エサク』のおかげで、私や精霊たちは、グンと成長できたのですよ、お爺様。――さて、ファルス。Bに変更よ」


 〘……承知いたしました〙


 どこかの誰かにねぇよ、と言われそうなリピルの発言に重々しい口ぶりで答えたファルスに疑問を抱いていると、




 〘――『物質改変リマタチェンジア』〙




 と、謎の呪文を唱え、腕を軽く広げたと思うと、地面が急にドロドロしだし、ついには皆が沈み始めた。


 「ち、ちょ!ファールス!ヤバいってこれ、死n」


 〘静かに!――大丈夫です〙


 ニッ、といたずらに笑いながら答えるファールス。


 「ほ…ホントに?信じていいのね?これで死んだら責任取ってね??」


 〘…死んだら責任も何も関係なくなってしまいますがね。――皆様を死なせるような真似は致しません〙


 「大丈夫よ、ミム。ファールスを信じて」


 リピルが頷く。

 ファールスの主であるリピルがそう言うのだから、確かなのだろう。


 が………やっぱり怖い!

 コンクリみたいな物質がこんなドロドロになって、こんなのの中で呼吸なんてできそうにないのだが…


 そうこう言っているうちに、私の体は口元まで沈んだ。


 「…口元まで沈みましたが、この後どうなるの?」


 死んだ魚のような目でファールスに話しかける。


 〘安心してください、死にませんよ〙


 「いや、こんな状況で安心できないから…ゴボッ」


 とうとうドロドロした地面に口が入り込む。



 ――あぁ、これ、もう無事かどうかも分からんな――



 やけに冷静な自分の感情(と、そのネタどこかで聞いた、というツッコみ)とともに、ミムら一行はリヴスルの牢屋の地面の中に消えた。

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