Story25 リピルの決心


 〚……アァ?黒髪女、テメェ、ンな事も知らずにあいつと歩いてたのか?……グワッハッハッハ、こいつぁ傑作だ〛


 大声で汚らしく笑うリャナーサ。


 「……ミム、黙っててごめん。実は、私……『魔族と人族のハーフ』なの」


 な、なんだってー!?


 「は、ハーフ…?」


 「そして………マージナー家の正統な子じゃないの」


 な、なんだってー!?(2回目)

 さっきから衝撃的な事実が発覚しまくってるんだけども!?


 「ちょ、ちょっと詳しく。さっきから新しい情報が入ってき過ぎて、理解しきれてなくて頭パンクしそうなんだけど」


 「ご、ごめん………。私は、マージナー家・当主のジャウスと、当時マージナー家の魔人メイドであったルフェ・パーラーとの間に出来た、『望まれぬ子』、だったの……ぐすっ、しかも、わ、私は、レ、レーシュで………ぐすっ」


 リピルはその先を言おうとしたが、泣きだしてしまい、とても言えるような状態ではなくなってしまった。


 なるほど、ただでさえ隠し子で居場所がない上に、皆から嫌われる「レーシュ」、か……


 〚テメェも大変だったな、リピル。……だが、テメェがそんな目に合っているのは、人族の野郎どもが「レーシュは忌まわしき種」などと勝手に思い込んでいやがるからだ。俺ら魔族は、レーシュをそんな不当に扱ったりはしない……お前も、分かってるんだろ?〛


 黙り込むリピル。


 〚魔族にだって、レーシュは存在する。だが、俺らはレーシュを「天から授かった、貴重な存在」として大事にしている。……つまり、だ。もしお前が俺ら魔族に味方してくれれば、もうお前は周りから後ろ指をさされるようなことは一切なくなるんだ〛


 リャナーサは、まるで魔族の味方をした方が得であるかのように、リピルを言いくるめる。


 …あれ?でも、魔族であるハピィは、レーシュを忌み嫌っていたような…?


 すると急に、


 〘……お前は一体、何しに来たんだ。お嬢をこれ以上苦しめるなら、私はお前と戦うこともいとわないぞ〙


 ファールスが静かに言い放った。

 少し驚いたような目線を向けたリャナーサは、眉をひそめて、


 〚……あぁ、そうか、お前には父親以外にも、精霊という、強力な後ろ盾が存在するのか〛


 と、心から不愉快そうな顔で吐き捨てた。


 〚…最初はリピルだけでも解放してやろうと思っていたが、気が変わった。――オメェら全員、ここで朽ち果てろ。俺はこれから一切、オメェらに食料を与えねぇ。そのまま餓死するがいい。それを止めてほしければ、リピル、お前が俺ら魔族の味方をすることだな〛


 そう言い捨てた後、高らかに笑いながらリャナーサは去っていった。


 ふと心配になって少しうつむいているリピルをそっと見てみると、さっきまで涙を流していた時とはまるで別人のような、強い意志を込めた瞳をしていた。


 ~・~・~・


 〘――お嬢、大丈夫なのですか〙


 「うん……」


 煮え切らない態度で答えるリピル。


 「ついにこの時が……ね」


 しかし、彼女は、こうなることも分かっていたかのように、冷静だった。


 「………リピル、何か勝算はあるの?」


 そっと問いかけるミュシア。


 「今はまだ。……でも、リャナーサは、絶対に救いたい」


 そう言ったリピルの目は、今まで見たことがないほど明るく輝き、髪も紫色が一層濃くなった。


 〘ハァ……お嬢……〙


 やれやれ、と首を振るファールス。


 「……リピルの決心は、テコでも揺るがない」


 ミュシアがニヤリとする。


 「…じゃあ、リャナーサを救いつつ、リヴスルを元通りにする。しばらくの目標は、それでいい?」


 私が提案すると、リピルは髪を黄色に輝かせて、


 「ミム……!ありがとう!!」


 と、満面の笑みで答えてくれた。かわいい。


 「ミュシアとファールスは?」


 「……もちろん」


 〘お嬢は一度こうと決めたら全く融通が利かないですし…〙


 「それはオッケーってことだね!よし!………どうしよう」



 私の自信のない発言にリピル達3人はガクッとなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!