Story12 レベルアップ、のちに到着


 「……ちょっと待ってください」


 急に立ち止まった私に、前を歩いていたルキとその肩に乗ったハピィが振り向く。


 「どうした?何かあったのか?」


 「いや、レベル、どのくらい上がったかを知りたくて」


 【そういえば、さっきのディスタリザーの経験値は、ボクらからしたら少ないけど、ミムにとってはとても大きいと思うからね。早速、ステータスを確認してごらん】


 私は頷き、「ステータス」と言った。





 ミム・タチバナ

 Mimu Tachibana


 Job:学生

    Student

 Age:16


 Level:-9

 Magic:Not yet


 HP:-69

 MP:0


 Skill:Not yet





 ――レベルがたったの1、上がっただけだった。まだマイナスだった。


 「ま、まだマイナス……なのか……」


 一人落ち込んでいたら、ルキが励ましてきた。


 「まぁ、たくさん戦えばすぐにマイナスなんて脱することはできるさ」


 「……レベル高い人の励ましなんていらないです」


 「え?あ……ゴメン…」


 明らかに困っている様子のルキ。

 まったく、強い人の同情なんてこっちにゃ何の励ましにもならないんだから!


 【ハハハ、ルーは女の子の扱いが下手だね】


 「うぅ~…」


 事実であるため、何も言い返せずただうなるだけのルキ。

 そんな性格だから初対面で私に悪い印象植え付けるんだよもう。


 あれ?そういえば、気を失う前にステータスを呼び出した時は、何度言っても反応しなかったのに、どうして今になって……?


 「……なんで今はステータスが呼び出せたのか?」


 【多分、レベルが低すg…ゴホンゴホン】


 めっちゃ小声で聞き捨てならないことを言いかけ、咳でごまかすハピィ。


 「今なんつった!?うまく聞き取れなかったんだけど!?」



 そんな私たちのやりとりをじっと見ていたルキは、


 「――お前ら、仲が良いんだな……」


 とぼやいていたが気にしない。


 ……それにしても、もし、ハピィが言いかけた通り、「レベルが低すぎてステータスが呼び出せなかった」のなら、この世界にはステータスが呼び出せるレベル、というものが存在しているはずだ。

 大女神様、もしかしてそんなところまで細かく設定しているの……??


 まぁ、別にいいんだけどさ。


 「……とりあえず、私の知りたいことはとりあえず解決しましたので早くルシェに行きましょう」


 街はすぐそこだ。

 こんなくだらないことで時間をつぶし、また魔族に襲われるリスクを高めたくない。


 【うん、ミムの言う通り、早く行ったほうがいい。日が傾くと、昼よりもっと厄介な魔族が現れかねないからね】


 「夜は、魔族が行動する時間だから、ってこと?」


 【その通り。魔族は夜行性で、夜には昼の何倍も魔力や体力が跳ね上がるんだ。だから、魔族以外の種族は、夜に不用意に出歩くことを禁じている。もっとも、今になって夜に出歩こう、なんて言う命知らずな奴はいないと思うけどね】


 肩をすくめてハピィが言った。

 それには私も同感だ。


 「でしょうね。……あ、門が見えてきましたよ」


 ようやく、ゆっくり休めるところに行ける。

 もう疲れ切っていた私は、あともう少し、と自分の体にむちを打って歩き続けた。

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