Story9 出発の日


 私がルキ達に保護されてから3日目。

 体調もすっかり良くなった私は、ついにルキ達と旅に出ることになった。


 「忘れもんはないな?もうしばらく、この家には帰ってこないんだ、よく確認しとけよ」


 「分かってます」


 【う~ん、持っていきたいものが多すぎて困る~!】


 「ハピィ、お前のその蒐集しゅうしゅう癖はどうにかした方がいいと思うぜ」


 ため息をつきながら言うルキ。

 さすがに私も引かざるを得なかった。


 ハピィの部屋にはガラk…今までの旅で集めてきたという物珍しいものがたくさん散らばっている。


 何か珍しいものが売っているとつい目が行って買ってしまうのだそうだ。


 そういえば前の世界にもこんな奴いたなぁ、と思いつつも、すでに準備が終わっているルキと私はいつまでたっても終わらないハピィの準備に待たされていた。


~・~・~・


 ――3時間後。


 【いやぁ、ここまでまとめるのには苦労したよ。どれも愛着があってねぇ……】


 「はいはい、分かった分かった。さっさとしないと次の場所に行くまでに日が暮れちまうぞ」


 【はいはい】


 あの、女の買い物に付き合わされてる男とか、お出かけ前に女の化粧やら着替えやらを待たされている男の気持ちが分かった気がした。


 「……この後、どこへ行くんですか」


 ルキに尋ねる。


 「そうだな……隣町の『ルシェ』なんて、どうだろうか」


 「ルシェ?」


 【ここ・「キュルケール共和国」には首都があってね、そこがここ「ルイスラルド」の隣町・「ルシェ」なんだ】


 「首都、か……行ってみる価値はありそうですね」


 「だろ?おまけにそこは港町、他国との交流が盛ん。さらなる冒険の匂いがするぜ!」


 やけにワクワクするルキ。こういうところはとてつもなく子供っぽいっていうか、好奇心旺盛っていうか…


 【……さ、出よう。今からだとルシェに着くのは日が沈むころになるかもしれない。急がないと】


 「……なんで、日が暮れるまでには帰らないといけないの?」


 【それは、旅の途中に話すよ。さぁ、早く】


 私はルキ達と共に民家を出て、旅に出た。


~・~・~・


 ここで、この世界の地理について、少し話そう。


 まず、この世界には名前があって、「ケスハム」という。

 名前がある理由は、この世界が大女神様によって創られた世界だからだそうだ。


 この世界に来て地図を見たところ、全体的な地形はなんとなく、左横を向いた魚みたいな感じだった。


 といっても、すべての大陸が繋がっているわけではなくて、前いた地球の国の分布のように、いくつかの大陸、すなわち島に分けられている。


 大陸を分けているのは、「碧海へきかい」という、その名の通り青く澄み、自然の美しさを思い知らされる海、らしい。

 まだ見たことがないから分からないが。


 ケスハムは大きく分けて4つの島に分かれる(もちろん、小さな島もたくさんある)が、人族・魔族・エルフ・鬼族は、4つの島のうちの1つ、世界の中心部に位置する「イダラシア島」に住んでいる。


 そのイダラシア島はさらに4つの種族別の大陸に分かれる。


 まず、私が転移してきたところはイダラシア島の中では2番目に大きな大陸・「シュアンダ大陸」。

 大陸名には各大陸を守りし女神の名が使われる、ということから、この大陸での守護女神は「シュアンダ」となる。

 ここには主に人族が住んでいる。


 このようにして、主に魔族の住む大陸は「ルウィンダ大陸」、鬼族は「カーミンダ大陸」、エルフは「ヴァケルダ大陸」と、大きな4つの種族の大陸がある。

 大陸の大きさは、大きい順にルウィンダ大陸>シュアンダ大陸>カーミンダ大陸>ヴァケルダ大陸となる。


 ただし、シュアンダ大陸だからと言って人族しかいない訳ではなく、最近は地上の移動手段が発達し、今や全ての種族がそれぞれの大陸に行き来可能となっている。

 それにより、各大陸にはほぼ全ての種族が存在している。


 ちなみに、最近は魔族は暴走しており、もっと彼らの生息地を広げるべくルウィンダ大陸を出て他の種族の大陸に侵略しつつあるのが現状だ。


 そして、そのイダラシア島の周りを覆う3つの大きな島(「守リノ島」と言われている)――「ジュエダ島」「モルチャンダ島」「エヴィータ島」は、この世界の均衡を保つための機構が集まっているため、一般人の無許可な立ち寄りは各国できつく禁止されている(モルチャンダ島がこの世界では一番大きな島とされている)。


 また、この3島は他の「世界」にも関係しているらしい。

 「世界」とは何か、と聞いてみたが「俺にもよく分からん」と返されてしまった。地上の世界に住む私たちには関係ない世界のお話だろうか。天界とか?


 異世界あるあるの「世界樹」があるのもその3つの島の1つであり、一番神聖であるとされる「エヴィータ島」に存在する。


 また、世界樹の近くでは、精霊神をはじめとした精霊たちが樹を長きにわたり守っているという。


 しかし、最近は魔族が暴走気味ということで、世界樹を護っている精霊神はこの世界の存続に焦りを感じているらしい。

 どうやら世界樹が弱ってきているようだ。


 世界樹の衰弱は、ケスハムでの全種族の均衡が崩れつつあることを示しているという。

 全種族の均衡が崩れるということは、世界の終焉が近いことを意味する。


 イダラシア島の各大陸の分布については、大体だが、北にシュアンダ大陸、西にルウィンダ大陸、東にヴァケルダ大陸、南にカーミンダ大陸がある(上を北とした場合)。


 ちなみにカーミンダ大陸は唯一「守リノ島」に守られていないイダラシア島の南側の大陸であり、大陸の南部の一部は魚の腹びれのようにとがっている。


 守リノ島の配置については、ルウィンダ大陸のさらに西側にエヴィータ島がやや尖った形(魚の口のような感じに見える)で、シュアンダ大陸のさらに北にジュエダ島が魚の背びれのような形で、そして全大陸の中で一番大きいモルチャンダ島はヴァケルダ大陸の東に魚の尾びれのような形で存在している。


 ケスハムの南部(イダラシア島カーミンダ大陸)と北部(ジュエダ島)は地球と同じようにいつも寒いらしい。

 この世界が丸い球体の天体上にあることを示しているのだろうか?


 4つの島の大きさについては、モルチャンダ島>イダラシア島>エヴィータ島≧ジュエダ島となっている(あくまで地図を見て思った大きさである)。


 ここまで説明すると頭がごっちゃになりそうだが、自分でも既にごっちゃになっている。


 これは旅の中で覚えていくしかなさそうだ。

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