ChapterⅠ 冒険の始まり

Part1 出会いと旅の始まり、そして別れ

Story1 致命傷



 ――私が目を覚ました時、そこはであった――。



 「ここ…は……?」

 重い体を起こし周りを見渡すと、ひたすら青空と草原が広がっていた。

 見上げると、太陽が眩しい。

 ほぼ真上に上がっているため、今はどうやら昼らしい。


 「私…ここに…倒れて…?」

 うっすらとよみがえる記憶。頭を使うたびにズキリと痛む。


 そうだ、確か私、『かくれが』でマスターにミルクを頼んで…急に眠くなって…


 「…ていうか、ここ、どう見ても日本じゃないよね…?」


 どちらかというと外国っぽかった。



 自分の手足を見て、またスカートのポケットに入れて持ち歩いていたコンパクトミラーで自分の顔を見て、異常がないことを確認する。

 服は…群青色に赤いリボンのセーラー服。確かにさっきまで着ていた、高校の制服である。


 ここはさっきまでいた日本とは違って暖かい、っていうか暑いため、季節は夏だろうか。

 冬服である私からすると暑くて暑くてたまらない。


 湿度はそこそこ高そうだ。日本のジメジメした蒸し暑さとよく似ている。

 近くに海でもあるのだろうか。


~・~・~


 幸い自分の記憶は消えていなかった。自分の名前も思い出せるし、家族の名前も、学校の名前も、ちゃんと思い出せる。

 あとは、ここがどこか突き止めるだけだ。


 それにしても、辺り一面が芝生(のようなもの)で覆われている。遠くを見ても、家らしきものは見えない。またその反対側を見ると森が見えた。しかし、色が全体的に黒い。今は昼間、普通なら緑色に見えているはずだが…?


 「外国…?でもあの森の黒さは…」


 考えるとキリがない。

 とりあえず私は、人が住んでいる家などが見られるまで、当てもなしに歩いてみることにした。


~・~・~・


 しばらく歩いていると、遠くに家がたくさん立ち並んだ住宅が見えてきた。


 「おぉ…やっと、か…一体…、ここまで……、どのくらい、歩いて……きたん、だろ………」


 高校では特に部活に入ってはいなかった美夢。

 運動は得意ではないため、数百メートル歩いただけで息も絶え絶え、周りの暑さも相まって、体力的な限界が近づいていた。


 足がとても痛い。もはや感覚がなくなりつつある。

 また、上着はとっくのとうに脱いでいたが、全身からは異常なほどの汗が噴き出ており、このままだと危ない、と本能が警告している。


 もうそこら辺に座って休みたかったが、ここは外国、日本よりも安全であるとは限らない上に、この暑さの中で休んでも汗はかき続けるため熱中症になりかねない。

 近くに水が湧き出ているところはなく、ただただ草原が広がっているのみだ。


 よって、民家のあるところまで何とかして歩き、水でもなんでも恵んでもらった方が生存できる確率は圧倒的に高い。


 そんなことを考え歩いていると、コツン、と何かに躓いた。


 「……?」


 好奇心に負け、少し引き返して躓いたものを見てみると、それは何やら甲羅(?)に宝石のようなキラキラした物が付いている、亀のような生き物。甲羅の大きさは約20センチ、といったところだろうか。


 びっくりしてしまったのか、頭・手・足・尻尾は甲羅に引っ込めてしまっているようだ。

 その点に関しては日本の亀と大差ないな。


 「亀…?にしては、甲羅が綺麗だな…」



 そう言って亀を持ち上げジロジロと見ていたら、急にニュッと体を出した亀に反撃された。



 パシッ、とその小さくかわいい容姿からは想像できない、意外と長い手で軽く頬をビンタされただけ。


 ――その時。


 「……!!?」


 急に地面が揺らいだ。というよりは、私が自分の体重を支えられていないのだろうか。

 ドタッ、という重々しい音と共に体が前方に崩れ落ちる。





 ――私は、亀の一撃により、倒れた。

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