自称作家で偏屈極まりない只野直人。片や冴えない黒縁メガネ女子・御園まひる。
この二人が織りなす刺激的なラブストーリー。
二人の出会いは、やはり刺激的な出会いだったのか――?
こともあろうに、まひるは只野直人に頭から生卵をぶちまけてしまう。
なんとも波乱万丈な出会いだったが、これを切っ掛けに二人は意識し合う仲に……。
まひるの同居人のみやこは、酒に酔うと男をお持ち帰りする癖があり。これが後々波乱を産むのだが……。
まひるの勤めるスーパーの店長も一癖も二癖もある曲者。彼の企みによって物語は大きく騒ぎ始める。
まひるが只野を呼ぶ名前が、只野先生から先生と変わる瞬間、彼女の心が動く描写は必見。一話事の文字数が少ないが故に、それが幸いとして読みやすい。
コミカルでセリフが独特なのがこれまた面白い。所々、ギャグコメディーの要素を持ちながら、恋愛物に寄せていく描写も素晴らしい。心に染みるセリフを入れるからギャップに萌えてしまうのでしょう。
まひるを見守る両親も暖かい存在。親は子供を信じていたいものです。
笑いと涙とホッコリじんわりが交差するヒューマンドラマは読後感が清々しいです。
刺激的なタイトル通り、内容はやはり刺激的でした。
二人の結婚後はタイトルのような、刺激的な生活ではなくて、穏やかな人生を歩むのでしょうね。生まれた赤ちゃんは、偏屈な人になってほしくない……ですね。
作家志望だけれど作品が認められない偏屈で風変わりな男、只野。派遣社員としてスーパーで働く地味な女性、まひる。輝かしいサクセスストーリーとは縁がないように見えるそんなふたりが、スーパーの生卵売り場で衝撃的(?)に出会い、少しずつ互いを理解し、歩み寄っていく。不器用ながら真っ直ぐな二人の姿が温かく、じんわりと描かれた、とても味わい深い恋愛長編です。
主人公であるまひる、只野。まひるの親友のみやこ。まひるの勤務先の上司、みやこの勤める出版社の編集長。まひるの両親——。主人公のみならず、登場人物達全ての人間性や個性が細やかに描き出され、彼らが紡ぎ出す情景や台詞の一つ一つが、物語を非常に濃く味わい深いものにしています。それぞれのキャラクターの人間臭さや温かさ、汚さ、いやらしさ。綺麗な部分だけではない人間の様々な表情が、作品いっぱいに満ちています。だからこそ、その中でぽろりと零れる台詞の一言や温かな笑顔が、読み手の心を強く揺さぶるのでしょう。
最初こそ変人めいていた只野が、読み進めるうちにどんどん違う顔を見せ始めるのも、この作品の大変魅力的な点です。むさ苦しい偏屈男が、いつの間にか……!?という一種の驚愕を味わうこと必至です。
戸惑いながらも、お互いを想うこと、解り合おうとすること、歩み寄ること。そんな大切なことに気づかされる、とても幸せな読後感の物語です。
偏屈で不器用、「問題ない」が口癖の只野さんは、友人であるセシリア社の編集長から書いたこともない恋愛小説を書いて欲しいと依頼されます。
そんな折、スーパーの店員であるまひるさんから生卵を頭からぶっかけられるという『刺激的』な出会いをします。
ふたりの身に起きる『刺激的』な事件を機に、物語は大きく動き出していきます。
只野さんとまひるさんを取り巻く人達も、個性的。
思わずくすっと笑ってしまう場面もあり、どきどきするシチュエーションもあり、と最後まで物語の世界に浸ることができます。
刺激的なプロローグを、味わってみてはいかがでしょうか。
開幕、情事。あくまで作中作の話ですが。
刺激的なプロローグが大切という通り、刺激的な冒頭。読者を惹き付けるには十分ですね。
とりあえず、タイトル通りの作品です。刺激的なプロローグがキーワード。今作はそれが始まるまでの物語でしょうか。
内容もまた刺激的。普通の恋愛ではこんなこと起こりませんし。それでいて温かみもある、優しさを感じる作品でした。
ストーリーは軸が二つあります。歴史小説ばかり書いている変な主人公が恋愛小説を書くこと、地味な女性との恋愛。
この主人公、変なのですよね。序盤の時点でそうだと悟りました。ツッコミどころが満載。見ていて面白い。ギャグかよってくらいに。偏屈だけと嫌味っぽくはない、魅力を感じるキャラクターです。
ヒロインとの初対面シーンもインパクトがあります。生卵をかぶるシーンです。この作品の雰囲気に合っているというか、むしろ決定づけたまであります。
セリフ文もいいですよね。生き生きとしているといいますか。会話の流れも自然でした。
総文字数一〇万字でありながら、それ以上の読み応えを感じます。内容が濃く、詰まっているというべきか。おおまかな章ごとに大きく話が動く。状況も環境も。
他のキャラの描写もあり、それがきちんと結んであるというのもポイントが高いですね。