見習いの試練
私は、お姉ちゃんに見送られて試練の洞窟に向かいました。
その日の試練は五人の魔法使いが見習いを卒業するための儀式でした。方法は、五人全員で試練の洞窟に入り、試練の間にて精霊の出す試練を乗り越え加護を受けるというものでした。
ありがたいことに私も含め五人全員が優秀者という今回の儀式は誰も心配していませんでした。
女王にお言葉をいただき、全員で洞窟に入りました。
しかし、試練の間に着くなり、見習いの一人が異変を唱えたのです。「一人多い」と。それこそが、魔王の部下だったのです。
相手を攻撃できる魔法に長けている者は私ともう一人の二人のみでした。他の三人が補助や回復で援護する中、私たちは応戦しました。
魔王の部下はかなり強く、さらには相手の魔力を吸い取る力を使いました。仲間は次々とやられていき、私以外動ける者はいませんでした。
私は四人を庇いながら応戦し続けました。精霊たちも手を貸してくれましたが、その多くは既に封じ込められていたのです。
勝てる気配のない戦いでしたが、友達を守るために私は抵抗を続けました。幸い、私には抵抗するだけの力がありました。魔王の部下が先に息を切らし、どうにか隙を見て他の子たちを逃がすことに成功しました。しかし、それに腹を立てた魔王の部下は見たこともない魔法を使い、私を追い詰めました。
私はその戦いで片目を失いました。魔界の炎というものらしく、一切の治癒魔法が効きませんでした。
そこから先はわかりません。気がついた時には先代の勇者様によって助け出され、心配する姉に見つめられていました。話によれば、私の魔力を利用しようと、意識を失った私を魔法陣に閉じ込めていたそうです。魔王の狙いは見習い魔法使いの奪取でした。
幸い、私以外に大きな怪我をした者はいませんでした。
それから私はまるで歯が立たなかった自分の魔法を信じられず、今に至るまで部屋に籠っていたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます