第210話「富士山と雑巾」

小学校1年の時だ。休み時間……


「なあ、ミズキ。富士山と雑巾どっちが好き?」


と、コウに聞かれた。


『富士山と…… 雑巾?なんじゃそりゃ!?』


「じゃあ、とりあえず富士山」


と、僕が答えると……


「じゃあ手を出して」


と、コウは言って、僕の手の甲を富士山みたいに、つねって引っ張った。


「バッカやろ!いてーじゃねーか」


と、僕は笑ってコウの頭をひっぱたいた。


「あははは!」


コウも大笑いしていた。


「じゃあ、雑巾はなんなんだよ?」


と、僕が言うと……


「じゃあ腕出して」


コウは僕の腕を持ち、雑巾みたいに力いっぱい絞ったのだった!


「バッカやろ!いてーじゃねーか」


と、僕は笑ってコウの頭をひっぱたいた。


「あははは!」


コウも大笑いしていたのだった。


◇◇◇


そんな事を思い出した。


「ねーねー!富士山と雑巾どっち?」


目の前で息子が聞いてくる。さてさて、なんて答えてあげようかな!?と僕はワクワクしたのだった。


おしまい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る