第196話「ユウ」
「隣りの席」の事を書いていて思い出した。
それから、ユウとは良くしゃべるようになったのだった。隣りの席のユウとは、2人だけで良く遊びにいった。
近所の、駅ビルのデパートに良く行った。今にして思うと、ちょっとしたデートだった。
色んな階で、色んな物を見た。ユウは、明るい色が好きだったなあ。そして可愛い物が好きだった。おもちゃのコーナーでは、当時良く見に行った「古銭屋(こせんや)」があり、一緒に見た。
「えっ!聖徳太子って1万円札なのに、百円札の聖徳太子だって~、面白~い」
ユウは初めて見た「古銭」に目を丸くしていた。
(当時は、1万円札の肖像は、聖徳太子だった。古銭には、百円札の聖徳太子もいたのだった)
屋上で食べたソフトクリームは、美味しかった。ユウはバニラ、僕はチョコだった。
冬の太陽は、すぐに沈む。沈む夕日を、デパートのレンガ調の屋上から見た。僕は、ユウがオレンジ色に染まるのを、横目でチラチラと見ていた。帰りは、一緒に手をつないで帰った。
「じゃあ、また」
と、言ってバイバイした。
また明日、学校で会えるのに……会えるのが、すいぶん先の気がした。
「まって、ミズキ!」
「んっ?」
そうそう帰り際に、キスをしたかどうかは……
内緒である!
(すみません、ただの思い出補正です)
おしまい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます