第77話「プールバック」
朝の通勤の最中、プールバックを引きずって歩く子どもたちを見かけた。一年生かな?背が足りなくてプールバックを引きずっていた。
『あ~あ、ビニール破れるって!』
と、思っていると……
「ミズキ!引きずったら、ゴムなんだから削れて穴あいちゃうから、引きずるな!」
と、言う婆ちゃんの声を思い出した。
僕の小学時代の話だ。
◇◇◇
小学1年生の時。僕は背が低くて、背の順で並ぶと先頭か2番目だった。プールの授業が始まり、プールバックを持って登校する。小学校への道は行きは上り坂なので、そんなに引きずらないが、帰り道はよく引きずって歩いて帰ってきた。
ズズズー!
と、引きずって歩いていると……
「ミズキ!引きずったら、ゴムなんだから削れて穴あいちゃうから、引きずるな!」
と、坂の上のほうから婆ちゃんの声がした。
えっ!と振り向くと、婆ちゃんが困った顔で怒っていた。僕は慌ててプールバックの紐を手繰り寄せたのだった。
そうそう、僕はアスファルトに、ズズズー!と、引きずる感触は好きだった。(というか、プールバックの紐って、長すぎないか!?)
プールバックの中には、水着、帽子、バスタオル、ビーチサンダルを入れていた。「プールバック」は「ビニールバック」ともいっていた。筒型で巾着みたいなタイプと、手さげバック式があったが、僕のは巾着タイプだった。(だいたい男の子が巾着が多くて、女の子は学年が上がるに連れ手さげバッグが増えていた)
僕は、ビニールの匂いが好きだった。プールは嫌いだが、プールのある日には朝から教室中が、ビニールの匂いに包まれワクワクしたのを覚えている。
おしまい
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