第68話「プール開き」

僕の小学時代の話だ。


『とうとう来てしまったあ!!』


と叫びたくなるのがプール開き!!とにかく、憂鬱な日々が始まってしまったあ!!という気持ちが僕の胸の奥に渦巻いていた。

なぜなら、僕はカナヅチだったからだ!!


別に水につかっている分にはいいんだよね、大きなお風呂ぐらいに思えるから。でも、いざ泳ぐとなると、パニックになってしまい、ブクブクブクになってしまった。

なんで、パニックになるかというと、保育園で無理やり泳がさせられた事と、海で溺れた事からだ。


海では2回溺れていて、一つ目は浮き袋からすっぽ抜けて沈んで溺れた事(この時は足下でコンブがゆれていて足に絡み付いてきた)と、2つ目はボートが転覆で放り投げられて溺れた事!すぐに、まわりの人に助けられたけど、死ぬかと思った!!

そんな事から、水に顔もつけられないのだ!!(でも、お風呂は大丈夫!!もぐっていました)


とにかく“水のかたまり”と思った瞬間、怖くてたまらなくなり、パニックになって、ブクブクになってしまうのだ。


そして、とうとうやってきたプール開き当日!!プール掃除の楽しさはどこへやら、ドヨ~ンになっていた。

プール開きをする日は、当時6月20日ぐらいだった。

昔は、このぐらいには梅雨も終わっていた。まあ、時々雨もあったが、とりあえずプール開きをしておいて、いつでも入れるようにしていたようだ。


だから、気温が低い日もあり、ブルブルしながらプールに入った!!確か気温、水温が足して50度がプールに入れる条件だったが、当時は下回っていても結構、入らされていた。(雨の中、「どうせ濡れるから!」と入らせられた事もあった)


プールに近付くと、プーンと塩素の匂いがした。僕はこの匂いは好きだった。プール開きは、学年ごとに集まり行っていた。校長先生の話などを聞いてから、プールに入った。

プール開きの日のプールは、とりあえずつかる程度。でも、これから来る、「泳ぐ日々」にとっても憂鬱だったのを覚えている。


おしまい


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