第28話「のぼり」
僕の小学時代の話だ。
小学時代、大河ドラマを見ていると、足軽が「のぼり」を背中に差していた。それを見ていて、僕はなんだか作りたくなった。
まずは材料を探した。園芸用の篠竹があった。それを使って、いらない布を使い「のぼり」を作った。のぼりには取りあえず、「山本山」と書いてみた。それを背中に差し込み……
「や~っ!」
と、部屋の中を走り回った。手には槍に見立てた、新聞紙の棒を持った。気分は、関ケ原を走る足軽だ!『手柄は足で稼げ~!!』ってな感じでワクワクしていると、婆ちゃんから……
「うるさいから、外で走れ!」
と、言われてしまった。外で?『そんな恥かしい事、出来る訳ないだろっ!?』ってな訳で、取りあえず、心の中で、『や~』と言いながら、ソロリソロリと歩いたのだった。
そうそう、そのあと「山本山」では格好悪いと気付いたので、爺ちゃんに……
「のぼりになんか格好いいの書いて」
と、言うと……
「ちょっとまってろ」
と、爺ちゃんは言って、硯(すずり)に墨汁をいれ筆を持ち、ささささっと書いてくれた。新しいのぼりには
「風林火山」のも文字が書かれたいた。爺ちゃんに意味を聞くと……
「疾きこと風の如く……」
と、爺ちゃんが説明してくれたが、なんのこっちゃかさっぱりだったのだった。
確か小学4年の時の記憶だったと思う。
おしまい
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