第13話

「そんな悪い人達を許しておけないわ! これはそう、正義のための戦いよ! ゲーム業界の未来の為に、戦いましょう! あとついでにエジプト観光もしましょう! 正義の為に、ただで、エジプト観光! ただで、エジプト!」

「おおともよ! 銃を持て! 刀を持て! 汚れ切ったその脳髄の最後の一片まで掻き出して、代わりに牛糞でも詰めてくれるわーー!」

「子リスよ、最近の若者とは恐ろしいものだな。なかなかどうして頼もしいじゃあないか」

「いい、いや! 何言ってるんですか石川さんも! ちょっと二人とも、落ち着いて下さい! そんなのダメに決まってるじゃないですかー!」


 比較的危険度が低そうな剛迫の方に掴みかかった。俺は今一体どんな顔をしているのか、何をやらかすのか分かったもんじゃないから正解だとは思う。


「これは遊びじゃないんですよ! 敵の組織に立ち向かうということを簡単に考えておいでのようですがね、危険なんですよホントに! あなた達のような貧弱なゲーマー如きが入って行っていい世界じゃあないんです!」

「何よー、いいじゃないの! それに戦闘力ならアテがあるし問題ないでしょ!」

「そういう問題じゃないんです! 民間人が割って入っていいようなヤマではないのです、私のようなエリートでなければ! そう、私のような! 私のようなエリートこそが高校生でもこんな重要な仕事に就けるんです!」

「やかましいわー! 例え俺が小学生でもエジプトに乗り込んでいるわ! 小娘がしゃしゃり出るんじゃねー! あとことあるごとに煽るんじゃねー、FPSのマルチかコノヤロー!」

「貴方本当にキャラ変わりますねえ!? 石川さんも何とか言って下さい、この人達に……!」


 石川さんに頼りだした大門。悪いがこの人がノーと言っても行くつもりだったが、石川さんは石像のように頑健な掌を向ける。


「私はいいと思う」

「え」

「実際、有効だと思う」


 石川さんはニコニコ顔を作るつもりだったのだろうが、どう見ても腹に一物どころか二つ三つも持ってそうな大変ステキな笑顔を見せた。


「奴らの超能力は極めて厄介。このまま剛迫 蝶扇が連れ去られてしまう可能性は非常に高い。どんな警備網を敷こうと、奴らは必ず連れ去るだろう。それならそうなる前に意表を突いて、奴らの元にこちらから仕掛ける、というのは手の一つではあると思うよ」

「で、ですが! それってつまり、あいつらとの戦いにこの二人も巻き込むということで!」

「じゃあ訊こう子リス。この二人を止められるかね? きっと放っておいても行くよ、この二人は」


 わかっていらっしゃる、石川さんは。大門からは全てを諦められたような顔をされた。


「それにだ。あいつらのクソゲーをそのまま潰してくれるのは、我々の作戦の大きな進捗にもつながる」


 と、大門の言葉を意にも介さずに続ける。


「子犬のつがいよ、さっきは言わなかったがね。奴らのクソゲーは、普通のクソゲーではないのだ。あれはベス神の「加護」が宿っている代物でね。極めて危険なものなのだ」

「加護……ゲームなのに?」

「そう。そしてその加護は、主にクソ要素を引き上げるのに使われている」


 それはまるで呪いのゲームだ。それを加護とは、ものは言いようである。


「――しかし、神もゲームに加護を与えることが難しいらしくてね。現状、幹部級の者しかクソゲーに加護が宿ったものを確認していない」

「え」

「そして、彼らは今、あちらのクソゲーハウスでクソゲーバトルによって勝ち進んでいるという情報がある。ベス神の学習に使えるようなより強く、より多くのクソゲーと戦うには勝ち続けることが必要となるからね。そしてクソゲーバトルのルールによると、敗北したクソゲーは二度とクソゲーバトルの場に立たせることが出来ないというじゃないか」

「あ、なるほど……。もしも奴らが仕掛けてくるクソゲーを、逆に打ち砕くことが出来れば!」

「左様。ベス神の学習を滞らせることが出来る。現状あの二人が加護を受けたゲームで勝ち進んでいる状態だからね」


 石川さんは大門の方に視線を移す。

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