第79話 エピローグ 魔王「僕はそれでもユートピアを作る」

破壊神(声が聞こえる…これは)

破壊神(俺の内側から…?)

破壊神(…! 体が動かない…)

破壊神(一体…どうなってるんだ!?)

女勇者「魔王…?」

魔王「勇者…さん」

破壊神(何…!? 勝手に喋って…)

女勇者「え…?」

魔王「ありがとう…ございます…こんな頼り無い僕をなんかを信じてくれて」

女勇者「…!」

神官妹「まさか…!?」

魔法使い「ま、魔王なのか?」

神官姉「魔王…ちゃん…!」

魔王「はい…僕です」

神官妹「何で…破壊神はただ記憶を取り戻しただけの存在じゃないの?」

魔王「僕にも…よく分かりませんが…たぶんバラバラに…く!」

女勇者「ど、どうした…?」

魔王「はあはあ…やはり十数年分の記憶でしか無い…僕に…三千万年分の記憶を…押さえ続けるのは…無理…みたいです」

魔王「今でも…意識が…消えそうになって…ますから…!」

女勇者「何だって…!」

魔王「だから」ガチャ(黒い剣を拾う)

女勇者「…!」

神官姉「魔王…ちゃん!」

女勇者「な、何をするつもりだ、てめーっ!」

魔王「女勇者…さんも…ぐ、言ってたでしょう?」

魔王「僕はみん…なを殺して…世界を破壊したくないって…」

魔王「その通りです…だから…僕は…死にます…」

一同「…!」

女勇者「ば、バカヤロー! それは破壊神を追い出してから…!」

魔王「…それは…無理です…破壊神も…僕なんです…僕自身…なんです…」

魔王「離れるとか…そんな事は出来ません」

魔王「ごめんなさい…せっかく…勇者さんが心配してくれたのに…」

女勇者「し、心配なんかしてねーよっ!」

女勇者「とにかく良いから…良く分かんねーけど根性で破壊神を追い出せよ!」

女勇者「諦めんじゃねえよ!」

魔王「…ありがとう…でも方法があっても…僕は破壊神を追い出したり…しません」

破壊神 (…!)

女勇者「な、何でだよ…」

魔王「破壊神も…僕が生きてきた…一部だから」

魔王「一人で…死なせるなんて…可哀想です…」

女勇者「…!」

女勇者「…だからお前は…何で…魔王の癖に…馬鹿野郎なくらい…優しいんだよ…」

魔王「ごめんなさい…」

魔王「それでは…僕はもういきますね」

女勇者「…!」

女勇者「くそ…止めろよ! 止めろよ!」

魔王「ご免なさい…僕が早く死なないと必ず破壊魔法は発動されてしまう…」

神官妹「…」

魔法使い「く…」

神官姉「止めて…魔王ちゃん!」

魔王「みんなを救うにはこれしかないんです…!」

女勇者「てめーっ! やったら死体を丸坊主にするぞ! とことん辱しめるぞ! 良いのかコラ!」

魔王「…」

魔王「はは…勇者さんは相変わらずキツいな…」

女勇者「だったら…!」

魔王「出来たら…止めてくださいね」ニコ。

女勇者「あ…」

魔王「…!」ドス(黒い剣を自分の胸に突き立てる)

魔王「…」グラ。

女勇者「…ま」

女勇者「魔王ーーーーーっ!!」

女勇者「………!」

女勇者「……」

女勇者「…」

魔王(勇者さんの声が遠ざかって行く…)

魔王(これが…死ぬって事か…)

魔王(丸坊主…だけにはしないで…欲しいな…)

魔王(…ダメだ、もう…目の前が真っ暗に…)

魔王 (…)

魔王(魔族とエルフそして人間がみんな平和に暮らせる世界…作りたかったな…)

………。

……。

…。

魔王「…」

魔王「はっ…!?」

魔王「ここは…あの一面白い…世界?」

破壊神「よお」

魔王「貴方は破壊神くん!」

破壊神「破壊神にくん付けってどうなんだよ…;」

魔王「え? いや何か同一人物って思うとさんとは言いづらくて…」

破壊神「さんでもくんでもどっちもおかしいっつーの」

創造神「ふふ、昔の貴方もそんな感じだったのですから仕方ない事ですよ」

魔王「創造神様!」

破壊神「止めろよ! 創造神に様付けするの…俺の方が兄貴何だぞ!」

魔王「兄貴…って神様たちはご兄妹だったんですか?」

心智神「そう…私たちはマスターに世界を管理するために作られたプログラムの兄妹…」

破壊神「プログラムって分かるか?」

魔王「あ、はい何か僕たち別れちゃったけど、ところどころ記憶を共有してるみたいで、何となく分かります」

魔王「コンピューターを制御する言語ですよね」

魔王「そして僕たちは、そのコンピューターの世界、電子情報を物理実現化させた存在…言わば電子の世界の人類なんですね」

心智神「そう私たちはそう言う存在」

破壊神「それでだな…」

創造神「破壊神…時間があまりせん…」

破壊神「分かってるよ」

魔王「?」

破壊神「…俺達はもうすぐ死ぬ」

魔王「え…あ、すみません!」

魔王「こんな事謝っても許される事じゃ無いかも知れませんが…」

創造神「良いのですよ魔王」

魔王「え?」

破壊神「ああ」

心智神「私たちもこの不毛な繰返しから解放されたかったの」

魔王「そ、そうだったんですか?」

創造神「人類を生み出しても、技術を進歩させないように滅ぼすなんて…私たちは辛かったわ…」

破壊神「マスターが俺達が冷徹になりすぎないように、人を思いやる心を持つように、人工知能が進化するように作ったのがいけなかったんだよ」

破壊神「俺達は人殺しなんかしたく無かったのに、それを2367回も繰返しやらせたら、命令通り動かなきゃいけないプログラムでも拒否したくなるってもんさ」

心智神「うむ」

魔王「はあ…」

破壊神「まあそれは良い、とにかく俺達は死ぬ…と言うかプログラムが消滅して消える」

魔王「と言う事は僕も…」

魔王「でも皆さんが良くても消滅する事になってしまったのは僕の責任…」

魔王「これでお詫びになるかも知れませんがお供させて頂きます」ペコリ。

創造神「まあ…うふふ」

心智神「クソ義理堅い…」

破壊神「まあ…そう結論を急ぐな」

魔王「え?」

破壊神「お前はもしかしたら助かるかも知れない」

魔王「ええ!?」

魔王「ど、どうしてですか?」

創造神「それは貴方の体は三次元で生きる有機生物の体だからよ」

魔王「え? そ、そうなんですか?」

破壊神「そうだ…! ただ人格が生まれる前に俺が乗り移ったから、そのボディにいるのは俺の人格だけだったんだかな」

破壊神「だが、回りに破壊神である事を気取られ無いために、三千万年分の記憶をオンオフしてたせいで、どうやら人格が分裂して、お前と言う存在が生れたらしい」

破壊神「そしてあの黒い剣のウイルスは、電子情報を破壊するプログラムだから、魔王の肉体自体には何も傷はついて無い」

破壊神「だから、今俺がお前を切り離し、あの肉体に留まらせれば、お前だけは助かるかもしれない」

魔王「ほ、本当に!?」

魔王「…で、でも僕だけ助かる訳には…」

破壊神「俺達の事は気にするな」

心智神「そう私たちは死にたがり」

創造神「魔王が好きなことしてくれた方が嬉しいわ」

破壊神「そうだ、お前は誰もが仲良く暮らせる平和な世界を作りたいんだろ?」

魔王「…!」

破壊神「どうなんだ?」

魔王「…」

魔王「それは…作りたいです」

破壊神「ならお前は生き残った方が良いだろう」

心智神「しかし…それはかなり困難な物となる…今までよりも」

魔王「…? それは大変な事だとは僕も思いますが」

心智神「違う…これからの世界はガラリと変わるから」

魔王「世界が変わる?」

創造神「私たちが死ぬ事によって、この中世ファンタジーの世界は維持出来なくなり、普通の世界に戻るからです」

魔王「普通の世界に?」

魔王「それはどう言う事ですか?」

心智神「簡単なところで魔法と言う力がまず消える」

魔王「ええ魔法が!?」

心智神「それが普通の世界」

破壊神「お前を異常に強くしていた力も当然消える」

破壊神「力を無くしたお前は、たぶん魔王でもいられなくなるし、平和な国を作るどころの話では無くなる」

破壊神「それに…世界はお前の望みと反して、腐世神界よりも、きっと醜く汚い世界になっていくと思う…歯止めが効かなくなるからな」

破壊神「お前はこれから残る世界はそんなところだ」

破壊神「お前はそれでも世界に留まりたいと願うか?」

魔王「…僕は」

魔王「…」

魔王「…力が使えなくなるとか、魔王じゃなくなるとかそんなの関係ないよ」

魔王「その世界にするために僕は僕が出来る事を頑張るだけさ」

魔王「だからどんなに苦しくなろうとも僕は構わない」

魔王「魔族もエルフも人間も仲良く暮らせる平和な国を作るために…僕は生きるよ」

破壊神「そうか…」

魔王「それに醜い世界もきっと悪くないよ」

破壊神「…何故そう思う?」

魔王「だって醜い世界があるから、綺麗な事が大切になるのだもの」

破壊神「…!」

魔王「世界は人の欲望で醜くなるかも知れない…」

魔王「でもそれから逃げ出し目を背けたって…それは逃げてるだけ」

魔王「それじゃ人は永遠にその問題を解決出来ない」

魔王「だから僕はその現実から目を背けず、人の欲望や争いが無くなる、そんな世界を探していきたいんだ」

創造神「魔王…」

破壊神「…そうか分かった、きっとそれはマスターたちが本当に望んでいた事だろう」

心智神「苦しく長い道のりになると思うが…頑張れ、お前がマスターたちの夢を叶えるのだ」

魔王「はい、ありがとうございます!」

創造神「ふふ」

心智神「ふ」

破壊神「お前の気持ちは分かった…まあ頑張れ」

魔王「破壊神くん!」

破壊神「だからくん付けは…まあいいや」

破壊神「それじゃ…そろそろ時間だ…俺達は行く」

魔王「え?」

創造神「魔王…しっかりやるのですよ」

心智神「さよなら」

魔王「え? も、もう行くのですか?」

破壊神「時間が無いと言ってるだろ」

魔王「そ、そうでしたね」

魔王「で、でも皆さんには本当に迷惑かけて…僕」

破壊神「だからその事は良いって言ってるだろ」

心智神「しつこい…」

魔王「す、すみません

創造神「ふふ、その人を思う優しさを忘れずに頑張るのですよ」

魔王「は、はい創造神様」

魔王「ふぁ…」

魔王「あれ?…何だか眠くなってきた」

心智神「目覚めの時」

魔王「え?」

創造神「現実の貴方の肉体が目覚め始めてるのです」

魔王「僕の…肉体が…」

破壊神「ああ…今度こそ本当にお別れだな」

破壊神「次に目を覚ました瞬間…そこは新しい世界だ」

破壊神「まあ頑張れ…じゃあなあばよ」

魔王「う…」

魔王「…意識が遠退いて行く」

魔王「…どんどん回りが暗く」

魔王「…」

魔王「…」

魔王「…」

???「…おう…!」

魔王「…?」

???「ま……う…きろ!」

魔王「誰か…」

???「…ろすぞ!」

魔王「誰か…僕を呼んで…いる?」

魔王「誰だ…起こさないで…」

魔王「このまま眠らせて…」

???「おき…いと…」ベチベチ!

魔王「…! いた、いたたっ!!」

魔王「いたーいっ!」ガバ!

女勇者「あ…」

神官妹「起きた…」

魔法使い「生きていたか」

魔王「こ、ここは?」

神官妹「魔王城ですよ、魔王様は胸を黒い剣で刺してずっと倒れてたんですよ」

魔王「あ、そ、そうか…」

魔王「どうやらご迷惑をおかけしたようで」

神官妹「ええ…本当に大変でしたよ、特に女勇者が…」

魔王「え、勇者さんがどうしたんですか?」

女勇者「ちょ、お前余計な事を言うなよ!」

神官妹「魔王様の頭を丸刈りしようとしたのを止めようとして大変でしたわ」

魔王「ま、丸刈り…! 本当に丸刈りにしようとしたんですか!?」

魔王「止めてくださいって言ったじゃ無いですか! 酷いですよ勇者さん!」

女勇者「…だ、だって、逆らって死のうとしたお前が悪いんだろ!」

女勇者「友達の癖に何でアタシの命令聞かないんだよ!」

魔王「一方的な友達関係過ぎるっ!?」

女勇者「こ、このアタシ様に心配かけさせやがって…馬鹿! 二度とやるなよなっ!」

魔王「し、心配してくれたんですか?」

女勇者「…!」

女勇者「してねーしっ!///」

魔王「でも…」

女勇者「してないったらしてないんだよっ!」

魔王「じゃあ何の心配を;」

女勇者「え? え、えーとそれは…」

女勇者「…! あ、あれだ、魔王は勇者が倒すんだから、訳分かんない理由で死なれると困るから、その心配だよっ!」

女勇者「別にお前自体を心配した訳じゃ無いんだからな!」

魔王「勇者さん…」

女勇者「むううう…」

魔王「…でも、ありがとうございます」

女勇者「…!」

女勇者「…ふん、だから知らねーっつーの…///」

魔王「ふふ」

神官妹「ところで魔王様…この現象について、神は何か言ってませんでした?」

魔王「この現象? あ、ああもしかしたら魔法が使えなくると言う事ですか?」

神官妹「魔法…? え、本当ですかそれ…」

神官妹「嘘…ごにょごにょ…はっ!」

神官妹「…」シーン。

神官妹「やだ本当だわ…魔法が全然使えない…と言うか魔力の力も感じない…」

神官妹「ど、どどうなってるの!?」

魔王「世界が普通になったからと言ってましたが…」

神官妹「普通…」

神官妹「魔法が使えない世界が普通って…どう言う事…」

魔王「何と言ったら良いか…」

神官妹「ま、まあ分からない事を増やされても困りますわ」

神官妹「今一番気になる謎の方を解きたいですわ」

魔王「一番気になる謎?」

神官妹「ええですわ」

魔王「それは一体…?」

神官妹「お気付きになりませんか?」

???「魔王様!」

魔王「…! だ、誰ですか! この髭のオジさんはっ!?」

???「や、やはり分かりませんか!」

???「儂です! 戦魔将軍でござる!」

魔王「せ、戦魔将軍さん!? だ、だって人間の姿になってますけど…」

???「魔王様、彼は本当に戦魔将軍らしいのです」

魔王「そ、そう言う貴方は?」

???「参謀です」

魔王「さ、参謀さん!? で、でも貴方も人間の姿に!?」

参謀「はい」

???「お前が胸を刺してからしばらくして、みんな姿が変わったのだ」

魔王「あ、貴女は?」

???「魔法使いだ」

魔王「えええ!? 魔法使いさんも耳短くなって人間になってる!?」

魔法使い「ああ、全くもってよく分からんが、エルフも魔族も人間になってしまった」

魔王「そんな馬鹿な…!」

魔王「…!」

魔王「と言う事は僕も…?」

神官妹「はい」

魔王「うそ…!」サワサワ。

魔王「…!」

魔王「角が無くなってる…」

女勇者「聖剣も消えちまったし…一体どうなってるんだよ?」

魔王「僕だってよく分かりませんよ…」

魔王「あ…!」

女勇者「な、何だ?」

神官妹「何か気づきましたの?」

魔王「はい、創造神が最後に…もしもプログラムが解除されたら世界は普通に…元に戻ると言ってました」

魔王「だから…これが普通の世界なのかも知れません」

魔法使い「だから普通とはどう言う事なのだ?」

魔王「僕も少しだけ破壊神と記憶を共有してたから全部では無いですが分かる部分もあるのでご説明しますが」

魔王「まず魔法は…創造神たちが使えるように世界にしてたから、彼女たちが死んだ事によって使えなくなったと言う感じです」

魔法使い「…ふ、ふむ、確かに全ての魔法は創造神様から与えられた物だから、創造神様が死ねば使えなくなるのも道理かも知れん」

魔法使い「しかし魔族とエルフが人間になると言う事はどう言う事なのだ?」

魔王「それは世界が元に戻ったからかも知れません」

神官妹「世界が元に戻ったから?」

参謀「…」

戦魔将軍「ま、魔王様…それはどう言う事ですか?」

魔王「それは…この世界には元々人間しか居なかったと言う事です」

魔法使い「…どう言う事ださっぱり分からん」

魔王「何と言ったら良いでしょうか…うーん、創造神様は元々人間をベースにして、魔族とエルフを作っていたと言えば分かるでしょうか?」

魔王「そしてそれも創造神様が維持していたから、魔法と同じく消えてしまったので普通の人間になった…そんな感じかと思います」

戦魔将軍「な、何と…わ、我らは人間だったと言うのですか?」

参謀「信じられませんね…」

魔王「と言っても…それしか人間に戻った理由は考えられません」

魔法使い「なるほど…人間を強力な敵と戦わせて人の協力関係を仰ぎ人の欲望を抑えると言うこの世界…その強力な敵も人間から用意してたと言う事か…」

魔法使い「しかし先祖をまたいでずっとエルフだと信じ続けたのだ…辻褄が合っていても、にわかには信じられないな…この私が人間だったとは…」

神官妹「まあ、それは当然でしょうね」

戦魔将軍「そ、それで魔王様、儂たち魔族は人間になってしまい、これからどうしたら良いのでしょうか?」

魔王「それは…」

魔王「…」

魔王「その前に皆さんに言いたい事があります…」

一同「?」

魔王「僕は…今まで凄い強い力をもっていたかも知れませんが、だから皆さんに魔王と認められてたと思います…」

神官姉「そんな事無い…魔王ちゃんは最高!」

魔王姫「ですわ! お兄さまは力が無くても世界最高の魔王ですわ!」

女勇者「うわ、生き返った!」

魔王姫「死んでませんわよ!」

魔王「あはは、あ、ありがとう」

魔王「でも…力が無ければ…僕は見ため通り、何の力も無い子供です」

一同「…」

魔王「…」

魔王「でも…」

魔王「それでも…僕は、変わらず人間、魔族、そしてエルフが平和に仲良く暮らせる、そんなユートピアみたいな国を作る事に尽力したいと考えています」

魔王「それは僕が魔王じゃ無くなって、何の力も無くなった無力な自分になってもやり続けようと考えています」

魔王「…僕は力も無く、そんな事を考えている魔王です」

魔王「それでも僕が魔王で居続けても良いですか?」

一同「…」

戦魔兵「…どうしよう」

戦魔兵「力も無くなった魔王様について行っても…」

戦魔兵「つーか人間になっちゃったし、本当にどうなるの俺ら…」

戦魔将軍「…」

魔王「せ、戦魔将軍さん…」

戦魔将軍「…ついていきますぞ魔王様!」

戦魔兵一同「ええ!?」

魔王「戦魔将軍さん…本当に良いのですか?」

戦魔将軍「儂は主と認めない者はとことん認めないタチですが…一度主と決めた方は一生主と決めております」

戦魔将軍「主の力が弱くなったから、主従の関係を止めるなどと…そんな不遜な事はしないでござる!」

戦魔将軍「一生ついて行くでござるよ、魔王様!」

魔王「戦魔将軍さん…」

戦魔兵「え、大将がついていくって…」

戦魔兵「俺らは…?」

戦魔副長「大将が決めたら俺らもついていくしかねーだろ」

戦魔兵「「ですよねー…」」

参謀「…ふむ」

魔王「参謀さん」

参謀「まあ私も魔界の国が無くなったら、住むところに困ってしまいますからね…国が潰れないように、お手伝いしますよ魔王様」

魔王「あ、ありがとうございます参謀さん」

魔王姫「お兄さま私もお手伝いしますわ!」

魔王「魔王姫もありがとう…」

女勇者「…」

魔王「勇者さん…」

女勇者「…あーあのあれだ、前も言った通り魔族子供♀のお店に住む訳だから…」

女勇者「その…アタシも手伝ってやらない事も無い…」

魔王「…!」

魔王「はい…! ありがとうございます勇者さん」ニコ!

女勇者「…!///」

女勇者「な、何だよその程度かよ!///」

魔王「え?」

女勇者「このアタシ様が手伝ってやるって言ってるんだ!///」

女勇者「もっとこう…他の奴より…特別な礼をしやがれ!///」

魔王「と、特別って…?」

神官妹「特別ってちゅーとかして欲しいの?」

女勇者「…!///」

魔王「は!?///」

女勇者「馬鹿…! そんな事あるか!」

魔王「そ、そうですよ! 何を考えてるんですか!」

魔王「男とキス何て出来る訳が無いでしょう!」

女勇者「は…?」ピキ。

神官妹「あちゃー…」

魔王「僕がいくら男らしくない顔をしてるからって、男とキスなんか…ぶはっ!!」

女勇者「…」

魔王「えっと…勇者さん、ちょっと痛いのですが…え? 何か怒っている…?」

女勇者「アタシは…」

魔王「はい?」

女勇者「アタシは女って言ってるだろおおおおおおおおっっっ!!!」バキ!

魔王「ぎゃ! ちょ、ちょっと勇者さんほ、本気で痛いです」

魔王「それにそんな胸が平べったい女人なんて…」

女勇者「うがあああああっっっ!!!」

魔王「ひえ! よ、余計怒った!?」

魔王「た、助けてー!」

女勇者「やっぱり魔王はこの勇者が倒してやる!」

女勇者「待ちやがれ!」

魔王「ほ、本当に痛いので待てません!!」

魔王「だ、誰かー!!」

一同「あははははは…!」


かくして神々が去ったその世界は、魔族もエルフは人間になってしまい、さらに魔法の力も失われた現実と変わらない世界になってしまった。

そんな世界で魔王は自分の理想の世界、誰もが平和に暮らせる国を作る事が出来るのか?

そして魔王たちはこの奪い合う世界で、過去の人間には見つけられなかった、本当の意味で争いを無くす方法を見つける事が出来るのか?

それは誰にも分からないけど、魔王と女勇者たちと一緒にやれば、きっと…。

そうきっと遠い未来ではそんな世界が作れているかも知れない…。


終り

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敗戦魔王の戦後処理 てんたま @tentama1977

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