第119話 コーリィ達の様子は?

「満腹になったよっちゃん達は、いきなり跪いちゃってね。あれだろ?跪くって偉い人にするんだろう?私ゃ大層な人間じゃないと思うんだけどね、この子たちは慕ってくれてねぇ。」


 このゴブリン達はおばちゃんに胃袋を掴まれたのであるな。まぁ、気持ちは分かるである。想像するにゴブリンの食事なんて生肉を食べるとかそういうものであろう。料理の概念すらない。そんな彼らに料理を食わせたらそりゃ……今後も食べたいから従っちゃうであるよな。


「それで従魔になったんであるな。」

「そうなの!もうねぇ、この子達ったら働き者で!小っちゃいのに力強いわ、いうことちゃんと聞いてくれるわで私もう助かっちゃって!」


 ……おばちゃん特有の子供の自慢話で話が長くなる奴であるなこれ。

 要約すると、このゴブリン……よっちゃん、たっちゃん、きくちゃん、はなちゃん、ごんちゃんは、おばちゃんの護衛兼弟子としておばちゃんを護らんと戦いながらも一方で料理を学んでいるそうだ。我輩達が食べた料理の中にもいくつかその作品があったらしいが、違和感を感じないほど美味かった。

 ただのゴブリンでしかなかった彼らも、今ではコックゴブリンという存在に進化しているらしい。何であるかそれ。

 そこから紆余曲折――面倒であるのでカット――あって今はシャスティに落ち着いて裏通りにあるこの店を経営しているらしい。


「であるが、こんな料理出せるであるなら大通りに店を構えないのであるか?」

「いろんなお客さんにも言われたねぇ。でも私にはこれで十分さね。これぐらいこじんまりした方が、ゆっくりお客さんとお話しできるからね。」


 そういうものであるか。単に客が入って売れればいいという話ではないのであるな。我輩もこれ以上言うことはないであるな。言う義理も縁もないが。

 さて、割と時間も過ぎたことであるし、そろそろ宿に戻らねばな。コーリィ達が簡単な仕事を受けて帰ったら我輩たちがいないとなっちゃ大騒ぎするであろうな。特にコーリィとティナ。

 会計を申し出ると思った以上に安い値段であったが、元とれているのであろうか……?と思ったら料理の材料の何割かは自分たちで調達しているから元は取れているらしい。おばちゃん強いであるな!


「じゃ、猫ちゃんまた来ておくれよ!」

「うむ、次は我輩の連れと一緒に来るである。」

「ワウッ!」

「「「「「ギギーッ!!」」」」」


<コーリィ視点>


 空気草を採取した帰り道は思った以上に難航しています。それもこれも……行きに比べて魔物との遭遇率が上がっているからです。苦戦するという訳ではないですが、こうも頻繁に現れては辟易しています。

 あぁ、ネコ様……すっごく会いたいです。あの滑らかな毛並みを心行くまで撫でたいです。やりすぎると怒られちゃいますけど。


「はぁ、ネコ様大丈夫でしょうか。」

「いや、ネコのこと心配するだけ無駄じゃない?どうせアイツのことだから部屋抜け出して食べ歩きしてるわよ、絶対。」

「ロッテったら、ネコ様は部屋で待ってるって言ってたのよ?約束を違えるなんてあり得ない。」


 ……あれ?それだとネコ様は私たちが戻るまでネコ様は部屋から出れずお腹を空かせて待っているのでは!?それはいけません、由々しき事態です!

 主従テレパシーを……あぁっ!これある程度近くにいないと使えないんですっけ!?

 頭の中で悶えていると周囲の警戒に当たってくれていたティナから声が上がりました。


「2人とも!また魔物来たよー」

「またぁ!?あーもう!ポチに乗ればすぐ帰れるのにぃ!」

「私だってネコに会いたいよ!だからさっさと終わらせよ!」


 本当にティナの意見には同意です。こうなったらもう私もバーサクでティナと一緒に暴れまわってやりましょう。眼前には人間の体に犬の顔。獣人とは違う魔物のコボルトと言う魔物ですね。ただ……そんな立派な鎧付けているわけないですよね、普通のコボルトには。

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