第43話 パーティ初戦闘である!

 吾輩たちは無事、火の魔術師コーリィ+吾輩、支援の魔術師ロッテ+ポチ、剣士のリンピオでパーティを組むことが出来、今現在オークが進行しているというリンピオと出会った森に向かっているのであるが……


「アンタ本当に反省してんの!?」


 先程からロッテがリンピオを小突いて反省しているのかと、詰め寄っている。

 まさか、吾輩たちの事であそこまで怒ってくれるとは思ってもみなかったである。


「してるしてる。この件に関しては本当に反省してるって」

「本当?まぁコーリィが何も言わないんだから私が何か言うのもお門違いかもしれないけど、これだけは言っておくわ!魔物使いにとって従魔は、相棒、親友、家族なの!簡単に囮にしろだ何てほざかないで。」

「あぁうん。肝に銘じておくさ。」


 これに関してはリンピオの味方はいない。パーティ3人中2人が魔物使いであるからな。そこは自業自得ということで甘んじて受け入れてもらおう。というか、叱られる覚悟でパーティに入ったのであろう。

 

 後ろでギャーギャー聞こえるが、無視して吾輩とポチは先行してオークを探していたのだが、ふとポチが鼻をひくつかせるとを足を止めた。


「ヴォウ!」

「っ!来るのね、ポチ!みんな構えて!」


 流石は魔物使い。ポチが言わんとしたことを分かっているのであるか。

 その一声で、少し前まで緩い雰囲気だったが、全員引き締まった表情に変わり、リンピオは吾輩たちと並び剣を構える。

 ポチ――ブラックウルフの嗅覚は的確なようで、オークが間もなく4体同時にやってきた。吾輩も嗅覚には自信が無い訳ではないが、犬にはもちろん劣るであるからな。


「"ストレングス・オール"!"クイック・オール"!」


 背後からロッテの声が聞こえたかと思うと、吾輩たち前衛1人2匹の足元に二重の魔法陣が浮かび上がり……おぉ、力が漲るし、体も軽い。イーターで魔核を喰らった時とはまた別の力の上昇。これが、バッファーであるロッテの魔法であるか。


「ブギイイイイイイイイイイ!」

「ヴォウゥ!」

「っらぁ!」


 ポチはポークの喉元に喰らいつき、リンピオは愚直にオークに斬りかかる。無様に逃げていたあの時とは打って変わってオークに立ち向かっているであるな。寧ろなぜあの時逃げていたのか。

 さて、吾輩もいっちょやるであるかな。丁度1匹が吾輩に襲い掛かってきてるし――試し切りでもするである。


("魔爪"。)


 頭の中で呟くと、吾輩の前足の爪に異変が起こった。何が起こったのかと言えば……吾輩の前足元の中指の爪の付け根から通常の爪より少し大きい……紫だがどこか透明な爪が現れた。

 前足は地面に接しているため魔爪と呼ぶべき爪も刺さっているのではと焦ったが、杞憂なようで、いとも簡単に地から話すことが出来た。というか、刺さった跡さえなかったのである。


 なんであるかこれ!?だがしかし、吾輩が混乱しているとはいえ、オークが待ってくれるわけもなく襲い掛かる。

 あーもう!こうなったら無理矢理試してやるである!仮にこの魔爪がただの透明な爪であったとしても吾輩には自前の爪があるし、斬撃強化がある以上ただの爪でも強化はされているはずである。


「に゛ゃあっ!」


 人語を喋るわけにもいかないので、掛け声も鳴き声だが、右前足を大きく振りかぶりオークを迎え撃つ。

 オークの武器は相変わらず棍棒。せめてそれだけでも吾輩の爪で切り裂いて無力化できればいいなと思っていたのであるが――ってえ!?


「ブギィ!?」


 オークが自らの体に刻まれた一筋の斬り跡とそこから噴出される血潮に驚愕の声をあげ訳も分からないと言った顔のまま絶命した。

 武器である棍棒は吾輩、間違いなく斬ったつもりであるがそれ以上に魔爪はオーク本体まで斬ったという事であるか。おっそろしぃであるなぁ……


 他のメンバーはどうしているのかと見渡すと……おぉポチはあと一押しで倒せそうであるな。リンピオは、ロッテの強化もあってかオークの体に傷をつけ続け、徐々に優位を得始めている。

 ……ん?あれ、吾輩とポチとリンピオで3体相手……来たオークは4体……あれ、後1体はどこにいったであるか!?


「"レイ・フレイムボール"」

「ブギャアアアアアア!」


 あ、残りのオークはコーリィ達を狙っていたのであるか。吾輩たちに気付かれず後衛を襲おうとしたということは何等かのスキルだか技術を持っていたのだろうが、コーリィには気づかれたようであるな。

 魔法によってこんがりと焼けたオークは香しい匂いを放ちながら力尽きた。

 ……などと他人事のように言っているであるが、後衛に敵を送り込んでる時点で駄目であるな……反省である。

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