第599話 女の方が怖い

 思うのだが、男は生理的に受け付けないと態度に出る。

 女は出ない…ような気がする。

 あれだけ嫌われている『爪水虫』がニコニコと喋っている姿を見ると怖いなと思う。

 影で、ボロクソに言われているのに、本人を前にすると、そんな素振りを見せないのだ。


 年始も普段から仕事をしてないから、ボロボロだった。

 僕は2度ほど『爪水虫』を怒鳴った。

 皆が不機嫌であった。

「今日皆さんに上手く指示できなくてすいません」

 謝り方から間違っている。

 まず『は』じゃねぇ‼ いつもだ‼

 そして上手く指示? その指示すら1度も出てねぇ‼

 何をしていいか解らんから、指示なんてできない、だから皆、自己判断で清掃を進めてしまう、結果、状況を把握できないから指示が出来なくなるという悪循環を引き起こすのだ。

 そのことを見越して補助を2名付けるという特別シフトである。

 イラッとして怒鳴った。

「全部屋、鍵開け終ったなら、3人で何してんだ‼ 他にも仕事あるんだぞ‼」

 僕はバイトだ。

 社員1名とパート2名を怒鳴った。


 思うに…僕は立場など無関係にバカをバカと言うのだ。

 ラブホの時と変わらん。

 結局、僕もバカなのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る