第576話 俺のせい?

「この出来は…酷いだろう」

 仕事で新製品のサンプルが上がってきた。

 まぁ…知らん人には何のことかもわからないと思うが、データはない、日程はない、頼み込んでの突貫で仕上げたサンプルである。

 それを見た各部署の部・課長の言葉である。

「そう言われてもね、急に形にしろで、塗装・印刷まで3週間しかなかったんですよ、最初から無理だって言いましたよね」

 そう…担当は私なのだ。

 大体、無茶ぶりの仕事は私という流れになっている。

 とりあえず、社長は出張で見るのは来週早々である。

 確かに出来は良くない。

 事前に社長にも電話で伝えてある。

 営業にデータが無く、日程も無ければ、こんなもんしか作れないと伝えた。

「にしても…コレ、サンプルで出せるか?」

 技術部長の意見である。

「ある意味、予想どおりの結果なんですけどね」

「解るよ、桜雪の言う事は、そうなんだよ、社長の無茶ぶりなんだから…俺を責めるな‼ どうせ最初に怒鳴られるのは俺なんだから‼」

「桜雪…ドンマイ‼」

 僕の背中をポンッと叩く技術部長。

「うっせぇわ‼」

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