第569話 だから学者は
『猫には悲しみの感情が無い』
どうも脳科学的には、そういうものらしいのだ。
「……チョビさん、悲しみを知らないのですか?」
腹の上で、くつろぐ猫さんに尋ねてみるも、返事はない。
だからどうした。
別に悲しみを感じなくてもいいのだ。
チョビさんは、気分で生きている。
幸せで鳴き、寂しくて鳴き、意味もなく鳴く…それでいいのだ。
悲しみを知っていようが、いまいが、どうでもいい。
時折、クロさんを探して鳴いてみたり、落ち着きがなくなったり、チョビさんは、その時々で何かを感じ思っている。
学者風情にチョビさんを解説してほしくないのだ。
動物と暮らしている人は、動物と会話しているし、気持ちも解っているのだ。
鳴き方だけで伝わっているのだ…きっと。
人の言う悲しみは感じないのかもしれない。
だけど…人には解らないナニカを感じているのだ。
だから、それだけでいい。
感じたままに生きていてくれればそれでいい。
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