第539話 お国の事業

 マイナンバーカードを作ることにした。

 もう、紙が限界のようだ。

 面倒だが、市役所へ行くことにした。

「空いてるな…」

 確定申告も兼ねているのだが、この次期、市役所は混んでいると思っていた。

 車が一台もねぇ……

「まさか…コロナ倒産?」

 忘れていたが…移転したのだった。

「というか…市役所どこに引っ越したんだよ?」


 まさかの地元で迷子である。

 どうにか市役所を発見した。

「縮小されてね?」

 人口の減少を見て把握できた。


 そんなこんなで…確定申告を済ませた。

 途中、計算を間違えられて、危うく損するとこだった…市役所、ぼったくりバーみたいなところだ。

「マイナンバーカードを作りたいんですが、写真は用意してません」

 わざわざ作ってやろうというのだ、当然、費用は役所持ちだと思っている。

「大丈夫ですよ、無料で撮ってますから、そちらにお座りください」

「はい」

(タブレットでOKなんだ…)

 時代は変わっていく…、そして写真を撮るとき僕の前を泣きながら横切る子供に腹が立った。

 それ以上に「すいません」とも言わない母親に腹が立った。

(このバカ親の前で子供の足をぶった切ったら、さぞ愉快だろうな…)

 そのあと、見たくないならと母親の目玉を潰したら…

 そんなことを考えていた。

「はい、写真どちらにしましょうか?」

(ちょっと笑ってるな俺…)

 そんな自分が怖かった。


 諸々の説明があったので聞いてみた。

「あの健康保険証は、以後、必要なくなるのでしょうか?」

「いえ…まだシステムを設置している医療機関が少ないもので、しばらくは併用された方がいいですよ」

(なんのために、機能を増やしたんだか…コレだから国の事業は…)

「カードは持って帰れるんですよね?」

「……いえ…1か月~1か月半くらいすると茶色の封筒が送られてきますので、そちらに受け取りに必要なものが書いてありますから、また受け取りにきてください」

「また来るの?」

「はい、本人様しか受け取れませんので」

「市役所って何時までやってるんですか?」

「平日は5時15分までです、月曜だけ6時15分、ですけど30分前までには市民課に来てください」

(普通は働いているだろ…これだから役所って…)

「土曜日は午前中だけやってますから」

「でないと…大概の人は受け取れませんものね…来いと言ってるんだから」

「後…マイナンバーの紙が必要になります」

「通知書ですか? あの何年も前に送り付けてきた?」

「はい、必要です」

(いや…ありますけど…あんなん取ってる人の方が少なくないだろうか?)

 機能は少なく、メリットは感じない、そして融通が利かないアナログな対応。


 大体、マイナポイントって、何処で使えるんだ‼

 この田舎で‼

 マイナーポイントだよ‼


「国の事業のクソ加減…役所の対応のアナログさ…」

 思うに政治家も定年制にしたらどうだろう?

 老人多すぎだよ…官も民も‼


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