第502話 目線の違い

 清掃業の夏は忙しい。

 コロナとか無関係に忙しい。

 人件費削減とか経費削減とか言われているようで、仕事は増えるが作業時間は減るという悪循環である。

 現場に来ないブラック企業の低学歴上層部は現場は怠けているのだそうだ。

 そんな雰囲気の中、海に遊びに来る連中を見ると殺意が湧く。

 大げさではなく殺意が湧く。

 全員、帰りに事故で死ねばいい…一生消えないツライ日になればいい。

 そんなことしか考えていないのだ。

 だから高速で事故とか聞くと、テンションが上がる。

 どうも僕だけでなく、清掃員というのは、そういう傾向があるようだ。


 そんな夜…映画『ジョーズ』を観た。

 若者がイチャついてサメに襲われるわけだ。

 なんだろう…ジョーズを応援している自分がいる。

「皆殺しにしてしまえ」


 映画の見方は様々だ、どこの目線で観るかで印象は大きく変わる。

 サメに自分を重ねているのかもしれない…。


 ……少し休もうかな?

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