Wish
《ユピテル》へ到着の日。
イーヲはタラップの窓辺に腰を掛けて、次第に大きく見えてきた惑星の見慣れたガス雲の渦をながめていた。
その大きな球体に付いた水滴のように小さく、彼らの定住の
この広い宇宙には《エウロパ》や《ガニメデ》以外にも人の住める環境は存在しているかもしれない。それにもかかわらず、人類が《アース》へ戻りたがる意味をイーヲは少しだけ知ったような気がした。
背後のドアが開き、テラが入ってきた。
もうすぐ警告のブザーがなり、各自座席に戻るよう館内放送が流れるはずだ。
静かな微笑みをたたえて、テラがイーヲの傍らに歩いてくるとその肩に労わるように手を置いた。彼は彼女を振り向くでもなく、窓の外の惑星を見据えたまま呟く。
「ねぇ、テラ。僕は地球に帰りたい」
Underground 縹 イチロ @furacoco
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Undergroundの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます