2017/2/19 カクヨムユーザーミーティング#03
第一部 角川文庫が求める小説とは!
・登壇者…角川文庫編集長・吉良さん
・角川文庫でもカクヨムからプロとして活躍できる作家を発掘したいと思っている<大まじめに!>
・まずは事前質問に対して…
1、小説コンテストに参加した理由
若い読者を角川文庫にひきいれたい。読者層は新潮文庫に比べて男性層にやや弱い。集英社文庫と近い傾向。
2、角川文庫とはどんなレーベル?
来年70周年になる。当初は森鴎外など文豪の作品を出版。
70年代から映像化と連動して大衆文化に売っていくという方向性へ。
今の角川文庫を支えているのは40代〜50代の女性(そういうトーンの方が売りやすい)。
例1)角川スニーカー文庫『このすば』
圧倒的に10代・20代の男性が多い(Web小説系)
このすばの読者はほとんど続刊を読んでいる。他に読んでいるのもなろう系とか。
例2)新海誠『君の名は。』(小説版)
40代女性が圧倒的にピーク(子供のために買った可能性もあるが)
例3)米澤穂信『いまさら翼と言われても』(単行本版)
20代男性がダントツ(アニメ氷菓のファンか)
例4)森見登美彦『夜は短し〜』
アニメ化、星野源声優で10代・20代にも売れるようになってくる
例5)湊かなえ『高校入試』
角川文庫の典型例。40代女性がピーク、次に50代、30代
例6)東野圭吾『ナミヤ雑貨店』
同じく、角川文庫の典型例
→角川文庫の読者層は日常やリアルをベースにした世界観が好き。
→コンテストでは仕事の面白さを描くだけでなくて、それを克服していく様子や人間関係、恋愛模様、社会背景を描いて欲しい(具体的には校閲ガール、握る男、ナミヤ雑貨店)
3、コンテストの選考の基準は?
知りもしなかったような仕事、身近だけど意外な事実がわかったりするといい
自分たちが生きている社会を見直すきっかけになるようなもの
4、プロ作家に求める条件は?
一定のペースできちんと作品を書ける人。
シリーズを立ち上げるとなると1年に最低2作かける人でないと、読者の心を捉えられない。
5、最近のトレンド
キャラ文芸やライト文芸の割合が伸びてきている(ビブリア古書堂みたいな)。
これらのジャンルはライトノベルではない。併読書は文芸系が多い。現代ベースにプチファンタジーのイメージ。(ライトノベルユーザーはライトノベルしか買わない)
『僕は明日、昨日の君と〜』とか『君の膵臓を食べたい』、『君の名は。』など、時間を軸にしたものが最近は主流になりつつある。
・質疑応答
Q. 原稿枚数は最低いくつから?
A. 最低枚数は400字×250枚〜450枚。6、700枚以上だと定価が高くなる
Q. 単行本にしないのか?
A. 単行本と文庫本で読者層が全然違う、可能性があるなら単行本化も検討
Q. 単行本と文庫本で読者層が違うのはなぜか?
A. 価格の違い。単行本はハードルが高い。市場は厳しい。メリットは単行本の方が書評が出やすい、文学賞にノミネートされやすいなど。
Q. お仕事小説にボランティアは含まれるのか?
A. ボランティアでもOK。そこに人間ドラマがあるならば。プロ・アマもあまり関係ない。
Q. 引き込みたいターゲットは若い男性だが、今回のコンテストはそこをターゲットにしなくてもいいのか?
A. 面白い小説であることが最優先。今回のコンテストに関してはあまり意識しなくて良い。結果的にターゲットに刺さればOK
Q. 読者を増やしていくにはどうすればいいか?
A. 出版社側のプロモーションも必要だが、読者世代と作者世代が近いものなので、若い作者が同世代に寄り添うものを書くのも大事。ただやっぱり若い世代を取り込むのはアニメなど映像ヒットがないと難しい。
Q. コンスタントに書けている作家の例や、書き続けるコツは?
A. 小説が副業で年に2冊書いているのは大変そうだが、真面目な人が多い。締め切りも遅れない。読者からのフィードバックを次の作品に生かしている。ただし売れっ子作家は年に4冊以上になるので、本業をやめるか悩む人もいる
Q. 本業を続けながら執筆をするときに出版社からサポートをすることはあるか?
A. 売れっ子でない限り本業をやめることは勧めない。ある程度売れてきたら専業化することも提案する。編集者は24時間支えていくつもり
Q. 異世界を舞台にしたものはOKなのか?
A. あり。異世界であっても現実世界とつながっていてテーマがちゃんと沿っているのであれば
Q. ジャンルは特化したほうがいいのか?
A. アマチュアのうちは色々書いてもいいけど、デビューしたては特化したほうがいい。将来的には宮部みゆきみたいな方向性でもいいかもしれないけど
以上が第一部の内容でした。次は第二部のプロット講評会の様子やはてなさんと個別にお話しした内容についてです。
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