第10話
「はい、呼べました」
「しゃあこら!」
「死ね!」
草原、エスパが魔法で呼んだモンスターに、ミドたちが一斉に襲い掛かって八つ裂きにする。う~ん、スプラッター。
「よし、もう少し高いレベルのモンスターを呼んでみよう」
「はい」
「お兄ちゃん見て見て! またレベルアップしたよ!」
「すごいすごい、がんばるんだよ」
翌朝からだけど、早速ぼくたちは自分たちの強化に励んだ。やり方は簡単、エスパが魔法でモンスターを呼び出して、倒して転心か配合の素材にして強化。弱めの魔物を呼んでレベルを上げてまた新しいモンスターを……以下略。魔王軍に入りたてのころと同じだね。
「ふう、あとはしばらく経験値稼ぎをしてもらうターンだね」
「お疲れ様です」
フジコさんが座って一息ついたので、ぼくは労う。結構体力使うみたいだしね。
「君の胴体も早く見つけないとね」
「まあそれはいいんですけど」
ちなみにぼくは未だに生首だ、体がないのは不便だけど、今最優先すべきなのは強化だから、仕方ない。ちなみに剛魔軍のお城で自爆し砕けた体は、再生しようと集まった肉体を見つけたモンスターが気持ち悪いと焼き尽しちゃったとアサシンマミーさんがお詫びに来た。うん、いいひと……モンスターだね。
「ところでフジコさん」
「なんだい?」
「ぼくとの関係について話し合いませんか?」
「話し合いしません」
「ああもう釣れない」
う~ん、照れてるのかな? そろそろもっとお近づきになりたいんだけどなあ。
「ぼくはフジコさんが好きなんですよ」
「ボクも好きだけど、『好き』の形態が違う『好き』だからねえ」
「そこを発展させ―」
と、言いかけたところで。フジコさんがどんどん下に落ちていった。いや、これは違う、ぼくが何かに持ち上げられてるんだ。
「大変だ!」
「あ!」
「ウホ‼」
怪鳥音がするってことは、鳥系のモンスターに掴まれて空に連れ去られたみたいだ。フジコさんどころかみんなが遠くなっていく。今ぼくがすべきは―
「よく聞いて! 絶対攻撃しないで―」
「ゴラア‼ お兄ちゃんに何晒すんじゃあ‼」
「あ―」
やっぱり聞いてもらえなかった。ミドの口から放たれた『かえんだん』がぼくと(たぶん)鳥系のモンスターに迫る。運よくモンスターの方にぶつかってくれたのはいいけど、爆発の余波によってぼくは焼け焦げながらより遠くへ飛んでいってしまった。
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