異世界転生メイド、ロキきゅん!編

 やあ、相変わらず派手にやってるねえ? ふふ、今日もスパ◇ボ「」カクヨムお疲れ様……ボクかい? 君たちが張り切ってゲーム内でやっつけてる、テロリストとか世界の敵とか言われてる存在さ。

 ボクの名はロキ……世界に混沌こんとんをもたらす者。

 まあ、今はちょっと見知らぬ世界でバカンスさ。

 でも、今に見てごらん? 『こちら』と『あちら』、二つの地球を――


「ちょっと! ロキ! せっかく雇ってるんですもの、しっかり働いて頂戴? こう見えても忙しくてよ、ワタクシたち」


 ちっ、ナミハナとかいう女……ボクをこんな格好でこきつかって。今にみてるといいよ、クククッ! こうしてひらひらのエプロンドレスなんか着せて、命知らずだね。暗黒大陸の連中ときたら――


「おーい、ロキ。悪ぃ、そろそろ飯を……ロキ?」

「マスター、ロキきゅんがいくら便利で万能だからって、メイドみたいに扱っちゃ駄目だヨ☆」

「え? あいつ、メイドじゃないのか……ええっ!? 男なのか!?」


 くっ、なんという屈辱! だが、真の悪はくじけないものさ……見てるがいいよ、飛猷流狼トバカリルロウ。それにしても、なんて場所だ! この暗黒大陸、科学文明は愚かしい程に未熟なのに、魔法とかいう謎の技術が幅を利かせている。

 まあいい……瞬雷しゅんらいの修理が終われば、奴らなど。


「あ、ロキちゃん。あのさ、君のサーキメイルだけど」

「ライト、彼の乗るあれはサーキメイルではないらしい。レヴァンテイン、と言ってたな……魔力を使わず駆動する、いわば我々と同じタイプだ」

「そうなんだ、ブレイ……え? 彼って言った? ロキちゃん、男なの!?」


 ライト、そしてブレイ……貴様らもいつか、ククク……ううっ。

 な、泣いてない! 泣いてなどいない! これはそう、バカンスだ! こんな見ず知らずの場所に飛ばされて、泣いてる訳がない。心細くなんかないぞ、全く……勘違いもはなはだしい。ボクはね、こう見えても混乱が大好きなんだ。


「ミスリル、ロキを呼んで頂戴。沐浴もくよくに行くけど、彼女も同行させるわ」

「待ってよね……まだ気づかないか? シファナ、あいつ男なのな」

「ふふっ、ミスリルったら冗談を。……それ、本当なの?」


 泣いてない……泣いてないぞ、泣いてないんだ……ぐすん。

 ああもう! 本当にバカンス楽しいなあ! 異世界転生物主人公ってこうだよなあ! さっさと掃除と洗濯を済ませて、メイドのアルバイト代をもらって瞬雷を……うっ、まだいたのかい? キミ。まあ、せいぜい『あちら』の地球でレベルを上げておくことだね。PPも効率よくつかって、資金で機体も強化するといい。その間にボクも……ああ、はいはい! 今度は世代の奴か! あいつは設計に入ると飯も風呂も忘れるからな。今行く、メイドのロキが行くってば! まったく、おちおちプレイヤーと話してもいられないよ。じゃあ、次なる戦いまでよき休暇を。地獄で待ってるよ、フフフ……!

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