第27話 ~ビリニュスの聞き込み~
「どういう事だ?」
今までの様に調べに行く事ができない?
「相手はメイドです。僕は勿論、メイドになった朱火さんも見えます」
「そうか。鈴蘭の時の様に尾行をする事ができないのか」
「ええ。したとしても気配でわかります」
それは厄介だな。普通の人間を尾行するよりも難しいぞ。
怪しまれない方法があれば……そうだ!
「じゃあさ、ビリニュスが直接行って聞いてきてよ」
「え!?」
かなり驚いている。
「私が行ったって人間だってバレて怪しまれるだろ。だったら同じく人間じゃないビリニュスが行けば怪しまれないだろ」
なかなかの案だと思うが。
「言われてみれば、そうですけど……僕なんかで大丈夫ですかね?」
「自信を持て!」
ビリニュスの右肩に手を置いて励ました。
「わ、わかりました! 頑張ります!」
気合が入ったみたいだ。
「じゃあ、頼んだぞ」
「え! 今からですか!?」
「当たり前だ! 私は人間で怪しまれるから行く事はできない。頑張ってやってくるんだぞ」
「わ、わかりました。これも蟲を減らしていく為ですから」
ビリニュスは紅雲高校に向かって行った。
私は報告を楽しみにしながら家に向かった。
* * * * * * * * * * * * * * * *
「聞けなかったぁ!?」
ビリニュスを待ち続けて二時間。帰ってきたビリニュスからの報告を聞いて私は拍子抜けした声を出した。
「うぅ……だって酷いんですよ! 何をしているのか聞いたら『貴方には関係ないでしょ』とか『貴方私のストーカーなの!?』って言って来たんですよ!」
今にも泣きそうな顔をしている。自信を持って行った分、相当ショックだったみたいだ。
「僕、そんなに女性に嫌われるような男なんでしょうか?……」
「男がそんな事で落ち込むんじゃない!」
「で、でも……」
「私はビリニュスの事、嫌いじゃないぞ。嫌いだったらこうして一緒にいないし」
「朱火さんは優しいですから」
「そうか?」
普通だと思うが。
「それから、こんな事も言っていました」
何だ?
「『そんなに私の事が知りたいんだったら条件があるわ。土曜日に創立祭があるからその時に他の執事を連れてきたら教えてあげる。勿論、イケメンをね』と」
「教える気が無くはないのか」
どうやら相手はイケメン好きらしい。
「だったらザグレブとティラナを連れてくればいいんじゃないか。先輩と桃音ちゃんも連れて」
「そうですね。僕が知っていて連れて行ける執事はあの二人しかいませんし」
「じゃ、明日学校で伝えるか」
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