第26話 ~蟲の出所~

 家の最寄り駅で電車を降り、ビリニュスと一緒に家に向かっていると突然ビリニュスが立ち止まった。

「どうしたんだ?」

「蟲の気配が感じます。しかも近くで」

「何処だ?」

「・・・・・・あ! あの人です!」

 ビリニュスが指を指した方角を見てみると以前、深夜に侵入した紅雲高校の男子生徒一人が佇んでいた。

 私はメイドに変身し、男子生徒の所へ向かった。

「……」

 男子生徒は黙ったままだ。チャンス!

 私は武器を構えた。

「待ってください!」

「何だ! ビリニュス」

 いきなり止めて。

「蟲の出所を調べさせてください。考えたのですが蟲の出所を調べれば蟲を減らす事ができると思うのです」

「なるほどな。でもそんな事できるのか?」

「はい。ザグレブから聞きましたが僕達執事は元々蟲を散らばらせる為につくられた存在なのでとり憑いている蟲を調べる事ができるみたいです」

「そうか。わかった、調べてくれ」

「わかりました」

 ビリニュスは男子生徒の後ろに回り、両肩に手を置いた。

「……! これは!」

「どうしたんだ!」

「この人はクラスに転入してきた女子生徒から蟲をとり憑けられたそうです」

「何だと! ビリニュス離れろ!」

 私は武器を構えてビリニュスが離れた直後、男子生徒に向かって叫んだ。

「浄化!」

 男子生徒の真上から激しい雷が落ちた。

 落ち終わると男子生徒はスッキリした顔になり、何処かへ行ってしまった。

 今回は今までより簡単に浄化できた。

「蟲をとり憑かせるなんて人間にできるのかよ?」

「いいえ。おそらく椿姫派のメイドが人間になり、蟲をとり憑けたのでしょう」

「人間になれるのか?」

「方法はわかりません。しかし蟲は女子生徒によってとり憑けられました。人間にはできない方法なのでそうとしか考えられません」

 そうだとしたらやっかいな奴らだ。

「じゃあ、蟲の出所は紅雲高校だな」

「はい。今度調べに行きましょう。しかし、今までの様に調べに行く事はできません」

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