第19話 ~騒暴車止まる~

 飛び移って座っていると騒暴車は別の道に入って行こうとした。

「朱火さん。こっちに何かあるのですか?」

「こっちは……高速道路だ!」

「ええっ!」

「今よりもスピードを出してくれなければいいんだけど」

「だったらこっちからトラブルを起こしましょう」

「?」

 ビリニュスは立ち上がると。

 ドガン

 思いっきりジャンプした。

 車が縦に揺れている。

「なるほどな。トラブルを起こせばエンジンを止めて調べるか」

 私も立ち上がりおもっきりジャンプした。

 ドガン ドガン ドガン ドガン

 私とビリニュスが交互にジャンプして騒暴車を揺らした。

 するとスピードがだんだん無くなっていき、近くのパーキングエリアに入っていった。

 騒暴車私とビリニュスと一緒に車の上から降りて近くに止めていた車に隠れた。

「ここから浄化するか」

「そうですね」

 運転手が車から降りてきたので私は武器を運転手に向けた。

「浄……」


「そこまでよ!」


「「?」」

 どこからか女の声がした。

「だ、誰だ君は!」

 運転手が驚いていたのでそっちの方を見た。

「朱火さん! 執事とメイドの気配がします!」

「いるのか!?」

「ここからだと見えませんね」

 私は隠れている車のボンネットの上に乗って見てみた。

「……!?」

「いました?」

「ああ。執事とメイドが一人ずついるんだけど」

「やっぱり!」

「そのメイドが見覚えのある顔なんだよ」

「え? 僕にも見せてください!」

 ビリニュスもボンネットに乗ってきた。

「……あのメイド、もしかして」

「見間違いかどうかしばらくみているか」

 メイドと執事はまだ運転手と話している。

「何なんだ今日は! メイドに二人も会うなんて」

「あれ? オレ達以外にもメイドを見たの?」

 執事が質問してきた。

「そうだ! 君たちもソイツの仲間か!」

「違うよ」

「じゃあ何の用だ!」

 運転手は怒り狂っている。蟲の影響もあるな。

「安心してください。貴方は今悪い蟲にとり憑かれていますが……」

 メイドは一歩前に出ると一番上に赤いハートが付いた魔法少女のようなステッキを取り出すと、ものすごい笑顔になった。


「この桃音が浄化させてあげる!」


「……イタイ場面を見てしまった」

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