第18話 ~騒音暴走車~

 次の日、休日だったので家でゆっくり過ごしていると午後からビリニュスが「蟲の気配です!」って言ったので変身して蟲を探す事になった。

「どうして休日に蟲が出る確率が高いんだ?」

「僕に聞かれても困ります」

 そんな会話をしながら屋根の上を移動しながら探しているとものすごい音量で音楽を流している車を見つけた。

「あれです!」

「だろうな」

 聞いた事もない明るい歌声とメロディの大音量が響き渡っている。

「ち、近づきたくない……」

「耳を押さえても効果が無いです……」

 ビリニュスが口は動かしているが何て言っているのかが聞き取れなくなってきた。

 しかし逃がすわけにはいかない。

 私は武器を車に向けた。

「朱火さん!」

 ビリニュスが呼んできたので武器を下ろした。

 まともに会話ができるようにビリニュスの隣に来た。

「今のまま浄化したら音量に驚いてまともに運転できなくなります!」

「そうか。浄化できても事故ってしまう可能性があるのか」

 これは難関だぞ。まずはあの音量を何とかしないとな。

 私は我慢して車に近づいた。

 幸い信号で止まっていたので簡単に近づけた。

 ううっ! うるさすぎて耳が……。

「な! なんだお前!」

 運転手の男が私に気付いて驚いた。何て言っているのかはわからないけど。

 窓が空いていたので腕を伸ばして音量を下げる所を探した。

 すると運転手が私の手を寄せてきた! さっき触った所か!

 私はそんな運転手の手を簡単に振りほどき音量を下げようとした!

「そうはさせるかあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 今度は聞えるくらいのデカい声でエンジンをかけてきた。

 マズイ! 走り出すつもりだ!

 私はすぐに腕を引っ込めて退避した。 クソッ!

 車はものスゴイ勢いで走り出した。スピード違反じゃないか? アレ。

「大丈夫ですか?」

 ビリニュスが近づいてきた。

「ああ。だが逃がしてしまった」

「追いかけましょう!」

 私とビリニュスは『騒音暴走車』略して『騒暴車』を追いかけた。

 途中でサイレンを鳴らしたパトカーも走ってきた。

『そこの車止まりなさーい! もしくは音量を下げなさーい!』

 私とビリニュスはそのパトカーの上に乗った。

「これで移動が楽になりますね」

「見えてたら確実に逮捕だな」

 騒暴車は止まる気配も音量を下げる気配も無い。

 パトカーがだんだん近づいて騒暴車との距離が二、三メートルくらいになった。

 私達は騒暴車に飛び移った!

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