第15話 ~甘い言葉~
放課後になり私とビリニュス、そして操ちゃんは一年A組の前に来た。
「さ、さあ行くよ」
「足震えているよ」
「こ、これは武者震いよ」
「ならいいけど」
まさかここまでの人見知りだったとは。
私が先頭になって国際科の教室に入った。
私のクラスとはまた違った風景だ。国際科なので海外や英語に関する資料などが嫌でも目に入ってくる。
「すみません。ちょっと聞いていいですか?」
「はい」
近くにいたこのクラスらしき人に聞いた。
「今日のクラスに転校してきた人、います?」
「いますよ。
呼びかけた方を見ると小柄で可愛らしい生徒がこっちに来た。
小柄だが透き通るような薄ピンクの髪をピンクのリボンでツインテールが目立つ。金色の瞳は見る人全員をひきつけそうだ。小柄なので背も小さく、失礼だが胸も出ていなさそうで出ている感じだ。
この人が転校してきた子か。
「この人達が桃音ちゃんに用があるって」
「初めまして。
「初めまして普通科の四宝朱火です。そして後ろの子は……」
「……」
「ちょっと!」
操ちゃんが私の後ろにしがみついた。
マリーゴールド色のミディアムヘアとBカップくらいの胸がおもいっきり当たっていている。
「えっと……アタシに何か用かな?」
「そ、そうそう君に聞きたい事があるんだ」
これじゃあ一人で来たようなものじゃないか!
「この学校の副会長は知ってる?」
「うん。朝、校門の前で挨拶をしている背が高いモデルさんみたいな人だよね」
「うん。その人の事どう思う?」
「そうだね、キレイな人だと思ったよ」
「他には?」
「えっと……胸が大きくて羨ましいとか、かな」
なるほどな。
「もっと詳しく知りたいって思う事無い?」
「えぇ!? そうだね……」
なんか変な宗教にでも誘っている感じだ。嫌だなぁ。
「あんなにプロポーションがいい体にする方法があれば教えて欲しいかな」
この言葉を聞いた瞬間、しがみついていた操ちゃんの体がものすごく反応した。
「もっと知りたい?」
「へ?」
操ちゃんが私の体の横から顔を出して聞いてきた。
「巫女十様の事、もっと知りたい?」
私の時もこんな感じだったな。
「知りたいです! あのプロポーションになれる方法を知りたいです!」
「いいよ。その代わりファンクラブに入ってもらうよ」
「ファンクラブ?」
「ここに入ればあのプロポーションがどのようにしてできたのかが知れるチャンスが大きくなるよ」
「本当!?」
……何で人間ってこうやって甘い言葉に誘われやすいんだろう。
「アタシ、ファンクラブに入ります!」
「よろしい! 君を『后巫女十様ファンクラブ』会員にする」
「よろしくお願いします!」
意外とあっさり勧誘できた。
大丈夫かな~ホント。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます