第7話 ~ビリニュス緊張する~

「い、いきなり開いた!?」

 会長がものすごい驚いている。

 勢いよく扉が開いても開けた本人が見えないと誰しもが驚くだろう。

 そして私も同時に違うことで驚いている。

 まさかこのちょい悪執事がが副会長のパートナーだったとは!

「……」

 副会長はこっちをじっと見ている。

 しかし、訳がわからない。

 私はベルンの事を言ったのにこのちょい悪執事は副会長の事だと……。

 うん? という事は『副会長が復讐をしようとしている』って事だよな。

 一体誰に?

 さらに私は『執事を探している』と言った。

 副会長も変身できるのなら私と同じくメイドになるんじゃ……。

「用務員さん呼んでくるよ」

「わ、わかった」

 副会長が立ち上がって会長に伝えるとこっちに向かって来た。扉を閉めて私とビリニュスの目の前に立ち止まった。

「……また会ったね」

「……今朝はどうも」

 一応礼を言っておいた。他に言葉が思いつかなかったからな。

「私の復讐をどうして知っているの?」

「さぁ」

 貴方のパートナーの思い違いだと思いますよ。

「ザグレブ。この子達は本当に私の復讐を知っているの?」

「もちろんだよ。こいつがしばらっくれているだけさ」

 この執事『ザグレブ』って名前なんだ。

「どうして復讐すのですか?」

 ビリニュスが唐突に聞いてきた。

 普通聞くか!? この状況で!

「驚いた。理由までは知らなかったのね」

「はい」

 素直に答えるな!

「……知りたい?」

 副会長がビリニュスの顔に近づいて聞いてきた。

「は、はい! 知りたい……です」

 少し顔が赤くなっている。

「……俺あんな事されてない。なんでアイツなんかが」

「?」

 ザグレブが小さい声で何か言ったが聞き取れなかった。

「いいわ。教えてあげる」

 何だが話し方が色っぽく感じる。『二人だけの秘密よ』って最後に言いそうだ。

「そんなに緊張しないで……私も緊張しちゃうじゃない」

「っ! ……」 

 副会長がビリニュスの両肩に手を置くとビリニュスの体が小刻みに震え始めた。

 なんだか情けない姿だな。


「私、リラが大嫌いなの。私の友達を追放した女がね」

 

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