第27話 ~原因~
「朱火さんしっかりしてください!」
ビ、ビリニュス?
ビリニュスがドア開けて入ってきた。
「! この衣装……」
? バニースーツがどうかしたのか?
「早く着替えましょう!」
「おい! ぐっ!」
ビリニュスは私を男から引き離し、着替えたトイレの方へ連れていった。
そこにはメイド服がちゃんとあったので着替えた。
トイレからでるとビリニュスが待っていていた。
「ありがとうビリニュス。おかげで助かった」
「あの衣装には特殊な蟲が憑いていました」
「特殊な蟲?」
「はい。あの蟲はとてもやっかいな蟲で人間以外の動物や物にとり憑く事ができるのです」
「それはやっかいだな。しかし、どうしてメイドの私にもとり憑く事ができたんだ?」
「僕も初めて知りましたが……どうやら人間のメイドにはとり憑く事ができるみたいですね。僕のように人間ではない執事やメイドにはとり憑けませんが」
「そうか……」
まさかとり憑かれてしまうとは!
「しかも恋愛系の蟲ですね。とり憑かれた相手と二人きりになるとお互いに惚れてしまい愛し合ってしまいます」
「そうだったのか……ゴメン」
「いえ、謝らなければいけないのは僕です! 相手の方を怒らせない為に待っていましたが、それがまさか裏目に出てしまうなんて……ごめんなさい!」
ビリニュスは頭を下げた。
「いいんだ、今回はお互い様だ」
まさかこの私があんな男に惚れてしまいそうになるとは……。
思い出しただけで腹が立つ!
「部屋へ戻りましょう」
「ああ」
私はバニースーツを持って男の部屋へ戻った。
「朱火ちゃん! 待っていたよ!」
「……」
怒っているんじゃないかと思っていたが本当に待っていたみたいだ。
「どうして脱いだの? まぁいいや。さぁ、こっちへおいで。さっきの続きをしよう」
私はこんな男が初恋相手になりかけていたのか?
とても信じられない。
「お前出て行けよ。ここは俺と朱火ちゃんの二人きりの場所だぞ」
「そんな冷たい事言わないでください」
「朱火ちゃん! 君も続きをしたいと思っているだろ」
勝手に決めるな!
「い、いいえ! 今日はもうこれで失礼します! これも返します!」
私はバニー服を男に返そうとした。
早くこの場から立ち去りたい!
「朱火ちゃん。そのバニー服あげるよ」
「へ?」
あげる?
「どうせいらないし。朱火ちゃんが持っていなよ」
これを……か?
「朱火さん、貰って下さい。この衣装に憑いている蟲を調べてみたいんです」
ビリニュスが小声で囁いてきた。
「わかりました。ありがたく頂戴します」
「朱火ちゃん。またいつでも来ていいよ。待っているからさ」
嫌だ。絶対来ない。
「そ、それでは失礼します!」
「待って! 玄関の門を開けるよ」
三人で一階に降り、門を開けてもらった。
「それでは失礼します!」
開いたと同時に私はビリニュスを連れて走って駅の方へ向かった。
……葛葉の事どうしよう。
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