第85話 よもすから ものおもふころは

夜もすがら もの思ふころは 明けやらで

寝屋のひまさへ つれなかりけり


よもすがら ものおもふころは あけやらで

ねやのひまさへ つれなかりけり


俊恵法師


訳)

一晩中つれない人を想って過ごす夜はなかなか明けない。

まだ朝日の差し込まない寝室の隙間さえ恨めしい。


超訳)

今日も彼、来ないのかしら。

いっその事早く朝になればいいのに。


ちょっと一言)

男性が夜だけ女性の所に訪れる『通い婚』が主だった平安の世。

女性達はこうやって部屋の入り口を恨めしく眺めていたのかな。


あたし待つわ♪

いつまでも待つわ♪


ちなみにこの句を詠んだのは出家した坊さん。

切ない恋心を読み上げる坊さんて・・・?

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